In the Court of the Crimson King(1969)

King Crimson
(ファイナル・ヴァージョン)と銘打たれた今回の宮殿であるが、ポセイドンの時にも書いたように、前回の不自然なくっきり感のあるデジタルリマスターに比べ、よりアナログ時代に近い印象のまま音が良くなった感じだ。前回はフリップの手によるリマスターだったが、今回は情報が無く良く分からない。まさか日本オリジナルか?
若い頃さんざん聴いたこのアルバムも近年は、なかなか通して聴くことはなくなったが、改めて思うのは運命の不思議さである。ピーター・ジャイルスが脱退しなければ、グレック・レイクの参加は無かった。しかし、現在このアルバムのボーカルがグレッグの他に考えられるだろうか。彼が歌うために作られた曲達としか思えないではないか。ベースにしてもしかり。彼はテクニックをひけらかすタイプではないが、弾くべきフレーズを弾くべき時に弾くという、ついつい余計な事をしてしまうベーシスト(私か?)につめの垢を煎じて飲ませたいほどのセンスの持ち主である。「エピタフ」における良く伸びるベース音での、トニック、ドミナント、トニックの繰り返しは、並みのベーシストなら、もっと余計なことをしたくなるのだが、この抑えたフレージングが、どれほとこの曲に格調の高さを与えているか。「精神異常者」も中間のインプロは実はベースが起承転結を握っていることが良く分かる。もちろん、この当時はイアン・マクドナルドが主導権を握っていたろうから、彼の指示もあったかもしれない。
しかし、さらに脅威なのは、この後、たった一人残されたフリップの怒涛の巻き返しである。(作詞のピートはあくまで作詞なので)彼のがんばりが無ければ、クリムゾンはこの1枚のみの幻のバンドになっていたのだから。
いずれ、ジェネシスの紙ジャケ再発出るんだろうな。VDGGを含めた3大フェイヴァリットは、なんだかんだでやはり買ってしまう。