目黒の狂女(中村雅楽探偵全集3)

戸板康二
第3巻は前巻以降1976年以降の作品と、1968年1969年の2作が収められている。なぜ変則的かというと、当時発売された2冊の単行本に収録された作品を中心に編まれているからだ。
「淀君の謎」は「團十郎切腹事件」に続く歴史の謎もの、本当の淀君は、現在一般的に抱かれているイメージとは違うのではないか、という歴史ファンにはたまらない作品。
作者には、歌舞伎演目の謎を解く「小説・江戸歌舞伎秘話」があり、ユーズドで購入済みなので、今から読むのが楽しみである(中村雅楽探偵全集は分厚いし、5巻まであるので、読むのは大分先になりそう)
第2巻の感想で「人間模様の機微等に深みがあり」と書いたが、この巻ではますます深みを増し、二段落ち三段落ちも見事で、これはもう「文学」であろう。
ちなみに、タイトルは怖そうだが、全くそんな作品ではないのでご安心を(笑)