ゑひもせす

杉浦日向子
この間「全集で揃えたい」と書いておきながら、早く読みたいのと懐具合の関係で、文庫のユーズドで揃え始めてしまった(汗)初期作品集である。
実は、杉浦さんの漫画は、ずっと気になっていたものの、前述の「百日紅」「風流江戸雀」と「百物語」以外はちゃんと読んだことがなかったのであった。
デビューが「ガロ」ということで、いかにも「ガロ」的な陰影が深い作品が多い。
直前に彼女が岡本綺堂を絶賛している文章を読んだから感じたのかもしれないが、岡本綺堂の香りもする。
っていうか、明治になってから、幕末期、侍だった隠居から聞き書きをする、という「半七」を思わせるシチュエーションの作品もある。
個人的には忠臣蔵の討ち入りが、いかに一方的な虐殺だったかを、当時の資料から正確に描き出した「吉良供養」が嬉しい。
彼女は明治維新の官軍の残虐性にも憤っており、それは購入予定の「合葬」にて描かれる。