ワーグナー「パルジファル」

クナッパーツブッシュ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団(1963)
パルジファル:ヴォルフガング・ヴィントガッセン
クンドリー:アイリーン・ダリス
グルネマンツ:ハンス・ホッター
アンフォルタス:ジョージ・ロンドン
ティトゥレル:ルートヴィッヒ・ヴェーバー
クリングゾール:グスタフ・ナイトリンガー

レジーヌ・クレスパンがクンドリーを歌う1960年盤や顔ぶれが1962年盤のダリスやトーマスのデビューである1961年盤が、どうも入手しづらい状況なので(私が使用している通販サイトでの話)そっちは追々集めるかどうか決めるとして、いよいよ1963年盤である。パルジファルにはヴィントガッセンが復帰している。
昔から私は、クナッパーツブッシュの1963年、1964年の演奏を「神か悪魔かの境地」と表現してきた。
クナが「パルジファル」を生き、存在するだけで我々と一体となる、という境地に達した1962年盤の後、やはりクナの「パルジファル」は「神か悪魔かの境地」へ歩みだした。「パルジファル」として生きているクナが、うごめきだし、うねり始め、当然一体である我々も、共にうごめきだし、うねり始める。対立的に見れば、我々は引きずりまわされているようだが違う。我々も音楽と一体となっているからだ。
歌手陣も、クナの気迫が乗り移ったかのような迫力である。

しかし、ミュンヘン・フィルとのワーグナー管弦楽曲集(1962)の価値が下がらないのと同様に、「パルジファル」の1962年盤の価値が下がるわけではない。
っていうか、クナの「パルジファル」は全部いいな。