ヴェルディ「アイーダ」

セラフィン指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団(1955)
マリア・カラスアイーダ
リチャード・タッカー:ラダメス
フェードラ・バルビエリ:アムネリス
ティト・ゴッビ:アモナスロ
ジュゼッペ・モデスティ:ランフィス
ニコラ・ザッカ−リア:エジプト王
エルヴィラ・ガラッシ:巫女
フランコ・リッチャルディ :伝令
今回の聴く順番からすると「アイーダ」はずっと後なのだけれど、自分にとって新しいものばかり聴くのも疲れるので(汗)合間合間に、録音としては未聴だが、演目としては聴きなれたものも入れてゆく事にした。
カラスの「アイーダ」はデル=モナコとのメキシコでの共演ライブ(こちら)を聴いていたが、オフィシャル盤であるセラフィン盤は初めてである。
さすがに、カラスの表現は1951年盤より深くなっている。圧倒的な声量を楽しむなら1951年盤だが、うまさを堪能するならこちらであろう。
しかし、セラフィンのテンポ設定のせいなのか、ところどころ妙に間延びしていて全体にシャキっとしない演奏だ。
第2幕第2場(いわゆる凱旋行進)は有機的にあたかも1曲のように構成されている、と書いたことがあったが、それが1曲のように聴こえてこない。
カラスのみを楽しむならあまり問題はないのだが。
勿論この演奏を推す声も多いので、単純に個人的な好みの問題かもしれない。
トスカニーニ盤が、カラス、ドミンゲスだったら良かったのに。まあ、無理な相談だ。
昔から思うのだけれど、アイーダの恋のライバル、アムネリスは、アイーダと同い年なのだが、メゾのせいか、声も見た目もなんかおばさん臭い人が多い。バルツァとかファスベンダーとか、かっこいいアムネリスを聴きたい(見たい)のだが、バルツァはカラヤンのメンコ(方言)だったのでカラヤン盤だし、ファスベンダーはラダメスがドミンゴだ(笑)うまくいかないものだ。
ちなみに、このオペラはエジプトの総督から題材(原案)付きでヴェルディに依頼があったものだが(1870年)万が一ヴェルディが断ったら、グノーやワーグナーにお鉢がまわった可能性があった(それを知ってヴェルディが俄然やる気を出したようだが)
1870年と言えばワーグナーは「ニーベルングの指環」の「ジークフリート」の作曲の真っ最中だから、もし依頼を受けても受諾したかどうかはあやしいけれど、この題材をワーグナーがオペラ化したらどうなっていたんだろう、と考えるのは楽しい。