新旧「虹の谷のアン」

長年村岡花子訳で親しんできた「赤毛のアン・シリーズ」であるが村岡花子が割愛した部分があることは今では有名な話である。(例えばマシュウがなくなった直後にマリラがアンに心情を吐露する場面)
2008年に出た新装版は補訳という形で村岡花子が割愛した部分も翻訳されているということで、いつかじっくりと読み比べしようかな、と思ってとりあえず買ってあった。
昨日、たまたま原ちえこが漫画化した「虹の谷のアン」を再読して、ちょっと手元にある新旧「虹の谷のアン」を取り出してみた。
それでびっくりしたのが、「虹の谷のアン」はシリーズ中もっともページ数が少ない作品だったのだが、新装版は他とあまりかわらない。旧版とくらべてみたら、大げさに言うと2倍弱の厚さの差がある。新装版は活字が大きくなっているので、その分厚くなっている事を考慮してもこの差は大きすぎる。
ぱらっと見てみたら旧版は全29章、新装版は全35章ある!!
さらに冒頭の数ページを読み比べたら、形容詞的、装飾的な部分が割愛されているのみならず、ストーリーに直接は影響はないものの、文章がまるごと無いものさえある!
これはいったいどういうことだろう。村岡花子が翻訳したこと頃は出版ページ数に制限があったのか?あ、まさか当時カナダとアメリカのテキストに差があって、村岡さんはアメリカ版だったとか・・・?うーん、気になる。
以下×印が旧版に無い章。
1 帰郷
2 村の噂
3 炉辺荘の子供たち
4 牧師館の子供たち
5 メアリー・ヴァンスあらわれる
6 メアリー牧師館にとどまる
7 さかな事件
8 ミス・コーネリアのとりなし
9 ユナのとりなし
10 牧師館の大掃除
11 恐ろしい発見
12 説明
13 丘の家
14 デイビス夫人の訪問
15 ゴシップさまざま
16 しかえし
17 二重の勝利
18 悪い知らせ ×
19 かわいそうなアダムよ
20 フェイスの新しい友達
21 求婚 ×
22 約束
23 善行クラブ
24 フェイスの慈悲深い心 ×
25 また騒動、また説明 ×
26 ミス・コーネリア考えを改める ×
27 聖歌音楽隊
28 断食日
29 ヘンリー・ワーレンの幽霊
30 幽霊あらわる ×
31 カールの罰
32 頑固な二人
33 カールは鞭で−−−打たれなかった
34 ユナ丘の家を訪問する
35 「笛吹きよ、やってこい」

雰囲気的に「章をまるごと割愛」というよりは、割愛で短くなった複数の章をひとつにまとめたような感じがするが、詳細に読み比べてみないとわからない。これは仕事が増えたぞ(笑)