ブルッフの交響曲全集(とブラームスについて)

ブルッフ 交響曲第1番 交響曲第2番 交響曲第3番

コンロン指揮 ケルン・ギュルツェニヒ・フィルハーモニー管弦楽団(1992 1993)
これから聴きこんでゆくと、またいろいろ感想が出てくると思うが、とりあえず書く。
以前聴いたヴァイオリン協奏曲、スコットランド幻想曲等もそうなのだが、ブルッフは技術を含めたドイツロマン派の伝統の土台がしっかりしているが、それにプラスしてプリミティブな伸びやかさというか、キュートさというか、それが魅力だと思う。
以前書いたが、当時全盛だった民族音楽派のただなかにいた、ということで、幾分その影響はあるのかもしれない。
しかし、民族音楽派的な泥臭さはなく、あくまで端正で上品である。
もし、シューマンメンデルスゾーンブラームスあたりの交響曲を普通に聴いている人だったら、文句なくブルッフもお勧め。

 

 

 
ブルッフについていろいろ調べたら、何点か気になる事でてきた。それは、ブルッフとブラームスの関係である。
何曲かについてブルッフとブラームスの類似点や影響等についていろいろ書かれているのだが、ブラームスの方が年上なので勘違いしやすいが、ブラームスが大曲を書き始めたのは壮年に至ってからなので、類似や影響は実はブルッフの方が先発なのである。
以前から、ブラームスは名作曲家ではなく、名編曲家である、とは個人的な持論だが、当時のドイツ音楽界では、ワーグナーに対する対抗馬として、ブラームスが必要以上に持ち上げられていた疑惑がある。
となると、ブラームスの影響元であるブルッフが不当に忘れさられるように工作された、という可能性は無いだろうか。
ブルッフの曲を聴いていると、こんな素晴らしい作曲家が、なぜ半ば忘れられた形になっているのか疑問なので、そうでも考えなければ納得がいかないのだった。
(実際は、ユダヤをテーマとした楽曲が多いせいで、ナチスにつぶされた影響が現在につながっているという説が一般的らしい)