ヒラリー・ハーンのシベコン(と、エサ=ペッカ・サロネンの話)

シベリウス ヴァイオリン協奏曲
エサ=ペッカ・サロネン指揮、スウェーデン放送交響楽団(2007)
ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)

ヒラリー・ハーンのシベコンについては感想を書いたと思っていたが、ヘンリク・シェリングの時にちょっと触れただけで感想は漏れていたようだ。

http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/03/31/061400

シベリウスのヴァイオリン協奏曲はヴァイオリンとオーケストラが混然一体の曲なので、そこらへん勘違いするとリヴィング・ステレオみたいな失敗を犯すことになる。
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2012/12/19/050034

そいういう意味でヴァンスカ盤が最右翼なのであるが、スター・ヴァイオリニストを冠にした録音であれば、そうそうヴァイオリンを目立たなくできるはずもない。
なので、意外にこの曲はヴァイオリニストにとっては扱いが難しい気がする。
この演奏は、ヴァイオリンとオーケストラの一体感とヒラリー・ハーンの素晴らしさ、両方を損なうことなく成立している稀有の名演と言える。

サロネンは以前「フィンランドの指揮者なのにシベリウス交響曲全集が無い。」と書き「春の祭典」では辛い点をつけた。

http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/12/12/051003

しかし、今回改めてこのシベコンを聴いてみて、裏メロの生かし方が妙にセンスがあるので彼のシベリウスを聴きたくなった。
交響曲は「クレルヴォ交響曲」と5番のみ、あとは管弦楽曲集。
SONYの録音全集(61CD)が出てるくらいだからスター指揮者なんだろうから、シベリウス交響曲全集を出すメリットがないんだろうな。とりあえずお手並み拝見といくか。

「坂本龍馬殺人事件」(2018)風野真知雄

坂本龍馬殺人事件」(2018)風野真知雄
「歴史探偵・月村弘平の事件簿」シリーズの第5作であり、今のところ最終作であるが、出版年が2018年なのでまだまだ続編は期待できる。
個人的には坂本龍馬は小説で有名になっただけで、世間が過大評価しているのでは、というスタンスなのであまり興味が持てない。ミステリーの落ちも若干肩透かし感がある。
しかし、恋人同士の主人公二人がゴールインするまではシリーズは続けてほしいなあ。

 

「おくのほそ道」殺人事件(2017)風野真知雄

「おくのほそ道」殺人事件(2017)風野真知雄
「歴史探偵・月村弘平の事件簿」シリーズの第4作である。
芭蕉の「おくのほそ道(奥の細道)」や河合曾良の「旅日記」はいつか読もうと思っていながらこの歳まで来てしまったが、これきっかけで読もうかな。
しかし「おくのほそ道」と「みちのく黄金伝説」を結びつけるとは・・・・目から鱗の発想だ。

 

シベリウス 交響詩「夜の騎行と日の出」即興曲「スネフリード」(と今後)

シベリウス 
交響詩「夜の騎行と日の出」
ネーメ・ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団(1995)

即興曲「スネフリード」
ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団(2001)
ユビラーテ合唱団

先日「まさかのシベリウス・サイクルの復活か?」と書いたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2019/05/25/120441
やはり、復活してしまった(笑)
で、以前紹介していなかった曲を2曲。

「夜の騎行と日の出」はネーメ・ヤルヴィの「シベリウス 交響曲全集 管弦楽曲集」から。例の「シベリウス全集」(15CD)からは漏れている曲。交響曲第3番と第4番の間の期間に作曲された。
ウィキペディアによると

シベリウス自身は、1901年にローマで月夜のコロッセオを眺めた時に霊感を受けたと述べており、親しい英国の音楽評論家ローザ・ニューマーチに説明したところによると、「闇夜の林を独り騎馬で駆け抜けていく普通の人の、内面的な(個人的で霊的な)経験が表現されている」


との事。

「スネフリード」は、混成合唱と女声の語り付の管弦楽曲。「シベリウス全集」(15CD)から。
ネット情報が少ないが、リュードベリの詩を元にした、森の精スネフリードと若者グンナルの恋、そして戦士としてのグンナルの死を描く、交響曲第1番と第2番の間の作品。

どちらもドラマティックで聴きごたえがある。

以前は、ヴァンスカ盤を中心とした「シベリウス全集」ヤルヴィの「交響曲全集 管弦楽曲集」ベルグルンドの「交響曲全集 管弦楽曲集」や、ヴァンスカ、ベルグルンドの他の録音もそろえて、当時はそれで充分満足していたのだが、実は上記のBOXには収録されていない管弦楽曲や、一部のみが収録されていて全曲を聴けていない管弦楽曲がまだまだあるのだ。
なので、それらも少しづづ揃えていきたい。
シベリウスに限らないが「2つの荘重な旋律」とか「2つのセレナード」とか、あまりピンと来ない題名の曲でもものすごく良かったりするので油断がならないし。

 

「信長・曹操殺人事件」(2014))風野真知雄

「信長・曹操殺人事件」(2014))風野真知雄
「歴史探偵・月村弘平の事件簿」シリーズの第3作である。若干ページ数が減り、活字も大きくなったので長さは短くなったが読みごたえは充分。
ある程度歴史を知っている人なら一度ぐらいは信長と曹操はどこか似ている、と思ったことはあるかと思う。信長が命名した岐阜という地名が中国史から来ていることを考えても、信長が曹操の影響を受けたという可能性は充分考えられる。
勿論、この説はあくまでもミステリーの道具どして扱われているので、作品内で突き詰めているわけではないが、本格的に研究する人が出てきたら面白いかも。
シリーズもの、ということで、主人公二人の周りの人間の過去も少しづつ深く明かされたりして、今後の伏線かしら、等と考えるのも、シリーズ物を読む楽しみである。