スタニスワフ・レム「ソラリス」(と、ちょっとした泣き言)

知らなかった・・・・いや、昔から日本で読まれていたスタニスワフ・レムの「ソラリス」(邦題「ソラリスの陽のもとに」)が、ポーランド語からロシア語に翻訳されたものからの邦訳である事は知っていたが。
なんと、そのオリジナルのポーランド語からの邦訳が2004年に国書刊行会から発売され、さらにハヤカワSF文庫から2015年に発売されていたことを!
しかも、なんとロシア語に翻訳されたものは、当時のソ連の検閲で削除された部分があり、それが全体の1割弱に及ぶという・・・・
これは、買わないわけにはいかないではないか!初めて読んでから30年以上たっても、こういうことが起きるのだから、人生は面白いな。
ついでに語るが、SFのシリーズもので、邦訳が途中で途絶えてしまっているのがけっこうある。もう出版社は出す気がないんだろうな、とあきらめてはいるが、やはりアン・マキャフリイの「パーンの竜騎士」「九星系連盟シリーズ」は翻訳してほしいなあ。特に「九星系連盟シリーズ」は、あと1作翻訳されれば前作までのもやもやが晴れるはずなんだがなあ。

ジェレミー・ブレットの話

昨今マスコミで採り上げられている「マイ・フェア・レディ」であるが、その中でもフレディ役の役者さんがまたいろいろと取りざたされている。
それはどうでもいいのだが、映画の「マイ・フェア・レディ」は、たぶん一度見たっきりでフレディって誰だったっけ?と調べたら、イライザに恋する若き貴族ということで、映画ではジェレミー・ブレットが演じていた・・・・・え!?ジェレミー・ブレット!?
あの、ホームズと言えばジェレミー・ブレットと言われたあのジェレミー・ブレット!?と思ったら、まさにその通りだった。うーん顔が全然違うぞ!ホームズの時はあんなに影のある一癖も二癖もありそうな顔なのに、フレディの時は何の影も無い明るい好青年である。っていうか、元々舞台役者さんだから、それは役作りが凄いって事なんだろうな。
ちなみに知らなかったが、あのテレビ版の「超人ハルク」にも出演していたとか。第3話"Of Guilt, Models and Murder"の"James Joslin"役との事。エピソード名の邦題がいくら調べてもわからなかった。っていうかテレビ版の日本語吹替えの情報が極端に少ない。DVDも全話分出てないし!あんな名作なのに!

"Dark Magus"(1974)Miles Davis

"Agharta"、"Pangaea"(1975)の前年のライブアルバムである。当初は"Agharta"、"Pangaea"の発売後の1977年に発売された。たぶん"Agharta"、"Pangaea"後に引退状態(1980年に復帰)に入ったために、レコード会社が売れる音源がまだある!とばかりに発売したのだろう。
ギター、ベース、ドラム、パーカッションがアガパンと共通しているので、ほぼアガパンなのだが、ソリストの違いで少し印象が違う。
こちらの方は、マイルスを始め、ソリストが全開状態の凄まじさである。それはそれで凄いのだが、ではなぜこのメンバーでアガパンをやらなかったのか、という事になる。凄まじいと書いたが、別の言い方をすれば、凄まじいがジャズの範疇なのだ。マイルスは、そいういう所を壊したかったのではないか。
アガパンのような研ぎ澄まされた異世界のような音空間のためには、いかにもジャズといったソロ演奏は不要だったという事なんだろう。
しかし、このアルバムもやはり凄い事は凄いので、前作の「ゲット・アップ・ウィズ・イット」次作のアガパン同様繰り返し聞くことになろう。

"Get Up With It"(1970~1974)Miles Davis

この時期のマイルスは、体調や精神面が優れず、スタジオアルバムを完成させるまでには至らなかったが、その時期のスタジオ・セッションをかき集めて、プロデューサーがなんとかアルバムの体裁を整えて発売したのがこのアルバムである。(という説明でいいと思うが、違ったらごめんなさい)
圧巻なのはやはり、32分を超えるアナログA面C面の2曲。
A面の曲は半ばまでリズムレスのアンビエントミュージックでジャズでもロックでもなんのジャンルでもない驚異的な音楽。
C面の曲は、ラテン風「アガパン」的な部分の間にはさまれた、シンプルで静謐なベースのリフに乗ったリリカルなマイルスのトランペットが印象的。
他の曲も、さまざまなジャンルをベースにしたエレクトリック・マイルス。
こんなに凄いアルバムだったら、もっと早く買うべきだった(汗)
ちなみに、最後の曲のタイトルが「ビリー・プレストン」。え?あのビリー・プレストン?と思ったら、その通りらしい。スライ&ファイリーストーンのセッションに参加したビリー・プレストンのプレイをマイルスがいたく気に入っていたとか。