完全版 怪人二十面相・伝

北村想
というわけで(こちら)久々に読む。
二十面相の立場から「少年探偵団シリーズ」を語ることで、子供向け作品として一種の夢物語になっている「少年探偵団シリーズ」が、なんと切なくも生々しいリアリティをもって迫ってくることか。
前にも書いたが、原作では戦前戦後で登場人物の年齢設定が変わらないことを、明智、二十面相ともに代替わりしたということにして、説得力のある展開をしているが、明智と小林少年(2代目明智)の師弟関係、二十面相初代、2代目の師弟関係の対比も面白い。(明智は共にいやなやつだが、実はこの方がよっぽとリアリティがある)
「少年探偵団シリーズ」のファンなら、「怪人二十面相」「少年探偵団」「青銅の魔人」等を傍らに置きながら読めば面白さ倍増。江戸川乱歩に無縁の方も、これを読んだらきっと「少年探偵団シリーズ」に興味をもつと思う。
未だ書店ではあまりみかけないが、映画化されるとの事でいずれ書店に山積みになるであろう。
二十面相の代替わりと師弟関係は、この物語では絶対にはずせないキモの部分である。さて映画版はどうなることやら・・・・