ベートーヴェン 交響曲第5番

クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1960)
先日のフルトヴェングラーの第5の1954年盤が、アナログ時代は「クレンペラーのような遅さ」と評されていたことがあり(フルトヴェングラーの方が前なのに(笑))昔から一度は聴いてみたかった演奏が、例のワゴン・セールに置いてあった。
最初「あれ?何か違う」と思ったら、大編成には珍しく、バイオリンが左右に分かれた古い配置になっていた。「英雄」「合唱付」はこの配置の演奏は所有しているが、「運命」は初めてなので新鮮である。また、例の「第1楽章再現部第2主題のファゴット」や「フィナーレの提示部の繰り返し」も楽譜どおりである。(こちら)当時としては珍しかったのではないか?
さて、一見素朴かつ雄大な演奏に聴こえるが、例えばある楽器を突然ボリュームを落とすことによって、他の楽器を(いびつに)浮かび上がらせたり、普通の演奏では埋もれてしまうフレーズを浮かび上がらせたりと、実は一筋縄ではいかない演奏。遅めのテンポもチェリビダッケ理論(ってあるのか?)的効果もあり、なかなかにうならせる。