ブルックナー 交響曲第5番

ヘレヴェッヘ指揮 シャンゼリゼ管弦楽団(2009)
出たてのほやほやである。いわゆる非ブルックナー指揮者は、4番、7番あたりを録音してそれっきり、というパターンが多く、ヘレヴェッヘも7番、4番という順番だったので、もしかしたら・・・・と危惧していたが、ある意味8番、9番より敷居が高い5番を録音してくれて一安心。これで8番、9番もやってくれそうな気がする。
さて、ピリオド楽器の小編成(とはいえ今回クレジットされているのは67名、2管編成と3管編成の間)ノンビブラートでのブル5を聴くと、これが本来のブル5の姿ではなかったか、と思えてくる。
流麗なブル5は今までもあったが、これは清流のようなブル5である。かといって軽いわけでも薄いわけでもない。リズムとかの物理的な重みではない、真摯な重みがずしりとくる。今までのブル5の演奏とは別次元の美しさをもった音楽である。
この演奏はもしかしたら、これからのブルックナー演奏の新たな指針になるかもしれない。
ちなみにフィナーレが速すぎるとの声もあるが、これより速い演奏もあるし、このスタイルにはこのテンポが合っていると思われるので、決して速すぎると言うことは無い。