ヴェルディ 「アイーダ」

グァダーニョ指揮 アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団(1981)
アイーダ:マリア・キアーラ
ラダメス:ニコラ・マルティヌッチ
アムネリス:コッソット
このオペラはどちらかというと好きなほうなのだが、大昔LD時代、さて何のソフトを買おうかとけっこう迷った。
メト盤は相変わらずのドミンゴだったし、スカラ座はパヴァロッティだが、まあ悪くはないだろうということで、マゼール指揮の1985年のLDを買った。
さずがにスカラ座だし、舞台も立派、配役も上記と同じアイーダで勇名をはせたキアーラ、アムネリスは、ディミトローヴァ、ギャウロフもいて豪華である。
しかし、やはりオペラのソフト選びは難しい、と改めて感じた映像であった。
パヴァロッティは昔ながらのオペラの大スターの趣きをもった最後の歌手であろう。
つまりは、そこそこの劇場であれば、彼は歌いたいように歌うし、配役や演出も、かなり彼の自由が利くということだ。
ところが、さすがにスカラ座なのか、指揮者がマゼールだからなのかはわからないが、この「アイーダ」ではかなり窮屈そうなのだ。
冒頭の「清きアイーダ」から、いつもどおりにたっぷりと音を伸ばしかけては「あ、やばい、指揮者のテンポで歌わなければ」といったかんじで、テンポを修正する。おかげで終止ギクシャクである。
これは、徹底的に指揮者に合わせるべくリハーサルを積むべきか、もうパヴァロッティの好きなように歌わせるか、どちらかにするべきであった。
(もちろん、さすがに多くのリハをパヴァロッティに強要はできないだろうし、パヴァロッティもそんなに器用ではなさそうだ)
なので(長い前置き)「トゥーランドット」がすばらしかったマルティヌッチが、同じ野外劇場でやった「アイーダ」はもっと早く見るべきだったかもしれない。
さて、オペラの中で野外劇場が似合うといったら「アイーダ」を挙げずに何を挙げるのだろう、というほどこのオペラは野外劇場向きではないだろうか。
キアーラ、マルティヌッチはもちろん、コッソットは当時メゾの第1人者であり、悪かろうはずも無いのだが、今回聞いてみてオケのせいか、指揮者のせいか、テンポ設定というか、全体のまとまり、オペラの出来自体はどうも1段落ちるかもしれない。やはりソフト選びは難しい。