ブルックナー 交響曲第7番

シューリヒト指揮 コンセール・コロンヌ・フィルハーモニー管弦楽団(1956)
郊外店のタワレコを覗いてみたら、見慣れぬシューリヒトのブル7があってびっくり。フランスの放送用音源らしい。
以前シューリヒトのブル7については全5種類をあげた(こちら
今回のを加えて以下のようになる。
1.ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1938)
2.シュトゥットガルト放送交響楽団(1953)
3.デンマーク放送交響楽団(1954)
4.北ドイツ放送交響楽団(1954)
5.コンセール・コロンヌ・フィルハーモニー管弦楽団(1956)
6.ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団(1964)(オフィシャル)
しかし、解説によると、6の直前の、ザルツブルク音楽祭の音源があるという。ライブとスタジオが極端に違うシューリヒト、6との違いが興味深い。
それはさておき、今回の1956年盤、お気づきのとおり、4と6の間には10年の差がある。その差を埋める1956年の演奏である。
第1楽章の始まりは、マタチッチの凄絶さに近いものを感じる。シューリヒトのブル7にしては珍しい。また、かなりゆったりとしたテンポではじまりながらも、こまかい間隔でテンポが微妙に揺れ動く。これもちょっと他では聴かれない。
凄絶でいながら1964年の枯淡も垣間見られるが、何より驚くのがやはりテンポで、まるで曲を細かいブロックに分けて、それぞれにテンポ設定をして、それを改めてつなげているようで、流麗さのかけらも無い。
そのせいで、通常のブルックナーを聴く愉悦は得られないのだが、効果を狙った下卑た表現ではないので、真摯な問題意識を突きつけられた感じ。もしかしたら、シューリヒトの一大実験的演奏だったのか?
フランスのオケらしい明るい金管も、今まで気づかなかったフレーズを浮かび上がらせる。一瞬の油断もならない演奏だ。