ニコライ「ウインザーの陽気な女房たち」

クナッパーツブッシュ指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団(1957)
2010年に発売された、クナッパーツブッシュの正真正銘、初出の発掘音源である!
実は、正月に東京に言った時に、クナッパーツブッシュの「パルジファル」1959年盤を偶然入手したと書いたが(こちら)「ウインザー〜」もあったので、ついでに買ってしまったのだった。
「ウインザーの陽気な女房たち」は序曲が良く取り上げられるから、知ってはいたものの、オペラ自体は聴いた事がない。
オットーニコライは1810年生まれだから、メンデルズソーン、ショパン、シューマン、リスト等と同世代の、バリバリの前期ロマン派のドイツの作曲家(兼指揮者)だが「ウインザーの陽気な女房たち」の上演の2ヶ月後に39歳の若さで早世してしまう。ウィーン・フィル(の前身)の創設者としても有名。
原作はシェークスピアの「ウインザーの陽気な女房たち」であるが、実は私の大好きな、ヴェルディの「ファルスタッフ」と同じ原作なのだ!
というわけで、聴き終わっていないのだけれど、両者について確認してみた。

シェークスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」は大体以下のような構成をもっている。
1.金に困ったファルスタッフが、ウィンザーの金持ちの女房二人に言いよる事で、金を工面しようとたくらむ。反対して首になった子分が、その金持ちの一人フォードへ告げ口をする。フォードは妻の浮気を疑う
2.もう一人の金持ちページの娘の結婚相手騒動(「ファルスタッフ」ではフォードの娘)
3.フォード夫人とページ夫人は同時に届いた同じ文面のファルスタッフからの恋文を見せ合い、ファルスタッフを懲らしめようとする。
4.第1回目のファルスタッフのフォード邸への訪問。浮気を疑うフォードの乱入で、ファルスタッフは洗濯物の詰まった籠に詰められ、川へ落とされる。
5.第2回目のファルスタッフのフォード邸への訪問。1回目と同様に、今度は老婆に女装することにより逃げるようにされてしまうが、フォードに叩きのめされて退場。
6.妻たちはすべてを夫に打ち明け、全員でファルスタッフを懲らしめようとして、ウィンザーの森へさそう手紙をファルスタッフに届ける。ウィンザーの森での大騒動。ページの娘の結婚相手騒動も解決する。
ニコライの「ウィンザーの陽気な女房たち」は、上記の 2.3.4.5.6.を脚色。
ヴェルディの「ファルスタッフ」は、上記の 1.2.3.4.6.を脚色。
ニコライ版で1.が無いのは、その後の展開の中で内容がわかるようになっているから。
また、ヴェルディ版で5.が無いのは、4.と同工異曲の内容なので省いたのであろう。
 
とにかくニコライとヴェルディは微妙に違うので、それを頭にいれて聴く事にしよう。

映像があった。オペラ映画だが、オールロケっぽいが、こういうのならオペラ映画も悪くない。
全体的にはしょられているが、予習にはぴったりだ。パート1のみ載せる。


ちなみに、全曲盤もそう多くは無いのに、あのユリアーネ・パンセ(こちらこちら)が2種類も参加している!よほど当たり役だったのかな。

そう言えば、再評価が進んでいるサリエリ(あのモーツァルト毒殺といういわれなき疑いをかけられた作曲家)にも「ファルスタッフ」があり、最近はCDやDVDも出ているらしい。
いつか聴けるといいな。