Lizard(1970)

King Crimson
例の紙ジャケ再発シリーズである。以前に2回ほどこのアルバムについては書いている。重複を覚悟で書く。
他のクリムゾンファンもそうであったろうが、当時このアルバムは一番聴かなかったものだ。曰く、ゴードン・ハスケルのボーカルが歴代のボーカリストに比べて、一番クリムゾン的ではない。曰く、アナログA面2,3曲目がクリムゾンのイメージと違う等々。しかし、この歳になり、さまざまな音楽を聴いてくると、昔とはまた違った評価ができるものである。
当時は、ジャズ界では、ファラオ・サンダースが"Karma"を1969年に発表。「リザード」にゲスト参加のキース・ティペット・グループと" The Tony Williams LIFETIME"のデビューは1970年、少し遅れて、フュージョンになる前のウェザー・リポートと"MAHAVISHNU ORCHESTRA"は1971年のデビュー。マイルス・デイヴィスはエレクトリック時代に入ったところ。(当時のマイルス・デイヴィスバンドの驚くべきメンバー。ウェイン・ショーター(サックス)ジョー・ザヴィヌル(キーボード)ジョン・マクラフリン(ギター)ハービー・ハンコック(ピアノ)ロン・カーター(ベース)トニー・ウィリアムス(ドラム)ウェイン・ショーター(サックス)チック・コリア(キーボード))
ロック界ではソフト・マシーンのⅢが1970年、キャラヴァンの"In The Land Of Gray And Pink"は1971年。ザッパの"Hot Rats"が1969年。
長々と羅列したが、当時はロックとジャズの接近と言う意味では怒涛の時代だったのだ。そういう観点からこのアルバムを聴きなおすと、実に興味深い実験作だったと言うことがわかり、大変面白く聞けるのだ。そして、その成果は「アイランズ」を経て「太陽と戦慄」へ繋がるわけだ。