Midnight Love(1982)

Marvin Gaye
前述のように、アメリカから逃げ出し、潜伏先のベルギーで録音された、移籍後の、実質のラストアルバム。限られた録音条件と、最新のテクノロジーにより、打ち込み系を多用、ほとんどの楽器を本人とマルチ・ミュージシャンのゴードン・バンクスがこなしている。しかし、当時の時代の最先端を取り入れながらも、それにこびることなく、古きよき彼の個性を失わずに、さらに先見性をも秘めた傑作に仕上がっていることは奇跡ともいえる。(ポストロックの予兆さえ見える!:毎度引き合いに出して恐縮だが、ピーター・ガブリエルの香りもする)その証拠に(以外にも最初で最後の)グラミー賞を受賞。シンプルなバッキングに反比例して、ボーカルの多重録音は緻密さの極致だ。
これまで、4枚のアルバムを聴いたが、ソウル音痴の私も、すべてが傑作としか思えないほどの出来である。つくづく天才なのだと、あらためて思う。天才は神が愛でるとはよく言ったものだ。昨日書いたNBAの国家斉唱を聴きながら、改めて冥福を祈る。
マーヴィン・ゲイはあと一枚、廉価盤の録音情報が皆無の(あやしい)ライブを実は以前に買っていた。買った当時は、さっぱりわけがわからなかったが、今見ると"Midnight Love"収録の"Sexual Healing"が、入っているので、死の直前のライブであろう。しかし、今までに発売されたオフィシャルとは微妙に曲が違うので、やっぱりあやしいライブだ。これを最後にじっくり聴こう。