ヤノヴィッツの伯爵夫人(フィガロの結婚)の演技

思い出したことがあるので、説明したいが、そのための事前の説明が長くなりそうで怖い(笑)
以前からヤノヴィッツの伯爵夫人は「高貴さと茶目っ気を併せ持つ稀有な役作り」と褒めてきた(つもり)その例なのだが。
と思ったら昔の日記に、書こうとしていることの直前の場面についての説明があった(こちら
要はこの後、形勢逆転して、夫人とスザンナが伯爵を責め立てるのだが、
伯爵"Guardatemi"((へそを曲げてないで)こっちをお向き)
夫人"Ingrato!"(情けないお人!)
これが2度繰り返されるが、ヤノヴィッツの場合、最初の"Ingrato!"はきつく、2度目は若干弱い。
結局は夫人は夫を愛しているし、自分たちのたくらみに対する後ろめたさもあるだろう。伯爵の謝罪をはねつけたい思いと、許してしまおうかしらという気持ちのせめぎ合い。ここら辺の女心の機微の表現が、ヤノヴィッツは実にうまいのだ。