ショルティのワーグナー 「神々の黄昏」

ワーグナー 「神々の黄昏」
ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団1965)
ヴォルフガング・ヴィントガッセン:ジークフリート
ビルギット・ニルソンブリュンヒルデ
グスタフ・ナイトリンガー:アルベリヒ
ゴットロープ・フリック:ハーゲン
クレア・ワトソン:グートルーネ
ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ:グンター
クリスタ・ルートヴィヒ:ヴァルトラウテ
ルチア・ポップ:ヴォークリンデ
グィネス・ジョーンズ:ヴェルグンデ
モーリーン・ガイ:フロースヒルデ
ヘレン・ワッツ:第1のノルン
グレース・ホフマン:第2のノルン
アニタ・ヴェルキ:第3のノルン

「神々の黄昏」の最初のお楽しみである序幕の二重唱だが、テンポ設定やボリュームコントロールが不自然で、音楽の流れが悪い。ショルティの歌心の無さが、再び前面に出ているし、ヴィントガッセンの走り癖がさらに音楽の流れの悪さに拍車をかける。
以前、「神々の黄昏」の序幕の二重唱の「ターン」について、こんな事を書いた。
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2015/05/17
ここで
「他の歌手は意外にここを流してしまっている歌手が多い。誰とは言わないがビブラートでごまかしてしまっている超有名歌手もいる。
この部分は盛り上がるので指揮者によってテンポが速くなる場合もあるので、難しい事はわかるが、ヴァルナイの丁寧な歌い方に慣れると、この部分がいい加減だったりするとそれだけでがっかりしたりする」
と書いているが、この超有名歌手というのが実はニルソンで、私のニルソン嫌いに拍車がかかった原因でもあるが、あい変わらず、流して歌ってごまかしているのにがっかりする。
というわけで、個人的にはさんざんな序幕の二重唱。
フリックはハーゲンには重すぎて、悪人には聞こえるが悪賢くは聴こえない。フィッシャー=ディースカウはグンターにしては賢しらすぎる。
ラインの乙女の若き日のポップとメゾ時代のジョーンズも興味深い。ポップの若い声にはうっとりするな。
ラストの「ブリュンヒルデの自己犠牲」は妙に遅い。悠然たる遅さではなく、単にもたくさいだけである。
この後はバイロイト・BOXのベーム指揮の指環の予定だったが、ドホナーニの時のブルックナー・リハビリのように、ワーグナー・リハビリが必要な気がする。