シベリウス カレリア序曲

シベリウス カレリア序曲
ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団(1997)(全曲盤より)
サラステ指揮 フィンランド放送交響楽団(1988)

以前、シベリウスのカレリアについてこんなことを書いたが

http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2019/07/02/055832

シベリウスは、カレリア初演後、劇音楽としてのカレリアは破棄したものの、組曲として残したのだが、その前に序曲も独立した形で演奏できるように作曲しなおしている。
演奏機会が少ない、という事で、我が家にある録音ではヴァンスカの全曲盤からの録音しかなかったが、今回のサラステシベリウスBOXには収録されていた。
改めて聴き直してみると、なんかクレルヴォ交響曲の第1楽章に雰囲気が似ている。フレーズが似ているのではなく、構成というか、盛り上げ方というか、哀愁の雰囲気である。以前、ヴァンスカ盤で聴いたときには、まだクレルヴォにはまる前なので気が付かなかった。
クレルヴォ交響曲とは作曲年も近いし、シベリウス自身が破棄したという共通点もある。なんとなく若きシベリウスが影響を受けたであろうワーグナーブルックナーの色がそこはかとなく漂っている(と個人的には感じている)ので、そこらへんが破棄の理由かもしれない。個人的には大好物なんだが。

さて、ヴァンスカとサラステの聴き比べであるが、ヴァンスカは聴きなれたヴァンスカ節で間然するところがない。
しかし、このサラステはどこがどうというわけではないのに実に新鮮である。いや「どこがどうというわけではない」事が新鮮なんだろう。最近思うようになったのだが、ベルグルンドあたりが作為に満ちた不自然流に聴こえてきた。ベルグルンドでさえそうなのだから他の指揮者については推して知るべしである。もう、ヴァンスカ、サラステあたりしか聴く気がなくなってきたな。あ、レイフ・セーゲルスタムはちょっと気になる。