スライ&ザ・ファミリー・ストーン「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」"ADance to the Music"(1968)

シングル曲「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」の大ヒットを受けて作成されたスライ&ザ・ファミリー・ストーンの2ndアルバムである。1stについて「良質なポップ・ソウル」と書いたが、実際は実にヴァラエティに富んでおり、曲の凝り方や完成度は高かった。
このアルバムは曲の凝り方は受け継いでいるが、トップの「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」から最後まで、徹頭徹尾、それこそ「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」に徹したアルバムである。(わずかにラスト曲に前作の片鱗が見えるが)
圧巻なのは12分を越える「ダンス・トゥ・ザ・メドレー(ミュージック・イズ・アライヴ、ダンス・イン、ミュージック・ラヴァー)」で、ウッドストックでは「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」~「ミュージック・ラヴァー」のメドレー、プラス「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」であったが、その雰囲気がここでも味わえる。
ウッドストックの「ミュージック・ラヴァー」では、「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」「ハイヤー」という観客との掛け合いがあったが、この部分はライブ用に足したものかと思っていたが、ちゃんとオリジナルの「ミュージック・ラヴァー」でも「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」の部分があった。
この部分がよほど気に入ったか、観客に受けたのか、独立させて別曲「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」が誕生したのだな。
びっくりしたのが、ボーナストラックで聞き覚えのあるフレーズが聴こえて来たことで、個人的にはブルース・ブラザーズがコンサートのイントロで使用していた事で知ったオーティス・レディングの「アイ・キャント・ターン・ユー・ルース」で、スライ版はシングル発売のみ、ベストにも収録されていないので、今回ボーナス・トラック付きで本当によかった。