新訂版コナン全集 第1巻『黒い海岸の女王』

ロバート・E・ハワード
正直言う。いわゆる「コナン」シリーズは全くの私の興味の外にあった。しかし、「今までの「コナン」シリーズには他人の手が入っており、今回の全集は、極力作者のみの作品、文章で構成される」という。こういうシチュエーションはわたしのつぼで、興味が無かったはずなのに買ってしまう(ここら辺、歴史の謎好きとつながってるんだろうな)
で、hisamura75様がおっしゃっておられたが「小説の形をした詩」というのは言い得て妙。確かに文章が装飾が多く長い。こういった内容だと、さぞかし短いセンテンスでテンポ良くやっているのかと思いきや、意外だった。(それとも1930年代のペーパーバックではあたりまえの文体だったりして)
ほぼ短編ばかりで、作品同士のつながりは無いが、一編一遍は一種のアイデアストーリーで、けっこう唸らせる。コナンは主人公というより、そのアイデアストーリーの狂言回しなのだと気づいた時から、面白く読めるようになった。30歳で自殺の天才作家(去年は生誕100年)を偲ぶのも一興では?