筒井康隆+横尾忠則
以前「柴田錬三郎+横尾忠則」の「うろつき夜太」について書いた時にちらっと触れた。(こちら)
お手頃価格のユーズドがあったので買ってみたら、復刻版とのことで、元の単行本よりはひとまわり小さい。これはまあ、しょうがないか。
敗戦後の日本が、映画産業を頂点とする、文化輸出大国になっているという、ある意味ユートピア小説であるが、本当のテーマは、後半4分の1ぐらいの、登場人物達が、仮に(現実のように)日本が経済立国になっていたら・・・・と、推理、想像する部分。
(まあ、SFでよくあるパターンではあるが、個人的には「高い城の男」よりはしっくりくる)
痛烈な、現代日本社会への批判が小気味よく、万人に読んでほしいぐらいだ。1970年代後半の執筆のはずだが、現在の日本は、もっと悪化しているだろう。
また、今回久々に読み返して感じたことは、(天下の筒井康隆に対して、今更こんなことを書くのも失礼な話だが)前半4分の3の構成、展開の、実に見事な事。
文庫版もあるので、興味のある方はご一読を乞う。
こうなると、「うろつき夜太」も、復刻版でいいから、また読みたくなるな。
こっちのほうが横尾さんがはじけていた記憶がある。