死をもちて赦されん(1994 邦訳:2011)

ピーター・トレメイン
「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第6弾であり、シリーズ第1作
舞台はブリテン島、解説によると第2作の舞台はローマ、つまり「古代アイルランドを舞台としたミステリー」という謳い文句からすると、邦訳が第1作からでは読者がついてこないのでは、という懸念から、第5作からの邦訳となった模様。確かに今まで邦訳された中では、内容からすると第5作がもっとも古代アイルランド社会の紹介にはふさわしかったろう。しかし、だったらそれを、最初から解説に載せてくれてもよかったじゃない?
当時のブリテン島は、アーサー王から100年後ぐらいか、アーサー王の頃、ローマ軍は撤退し、アングル、サクソン、ジュートが上陸、旧勢力のケルト(ブリトゥン)やピクトがどんどん追いやられた時代で、舞台はアングル人の国ノーサンブリア(現ノーサンバランド)サトクリフで読んでいた世界に大部近い、のでそこらへんを探すのも楽しみかも。
例の(笑)エイダルフとの出会いはこの作品であるが、ウィトビア教会会議(ウィキペディアによるとウィットビー教会会議)で起きた殺人事件を、ローマ教会側とアイルランド教会側の探偵として、共同で操作に当たらねばならなくなり、後年よりかなり癇が強いフィデルマは(互いにどこか惹かれあっているのに)当初はかなり反発している。ここらへん、なんたらロマンスあたりの常套手段ではないか(笑)
最後には既に第2作への布石が投じられるが、そこらへんまではなんか、なんたらロマンスをひきずってるぞ(笑)しかし既に出ている3作以降は、なんたらロマンス的展開になってないのでひと安心だが。