サクソンの司教冠(1995 邦訳:2012)

ピーター・トレメイン
「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第7弾であり、シリーズ第2作である。3月10日に出たてのほやほやである。これで、長編は初期の5作品の邦訳が終わったことになる。これからはシリーズの順番どおりに翻訳されるのであろう(たぶん)
舞台である当時のローマの状況が、新興勢力のイスラム教とのからみもあり興味深い。
前にも書いたが、キリスト教といわれているものは、実はイエスの教えではなく、教会の権威付けのための「キリスト教会」教である、と個人的には思っている。だから当初は、ケルトとはいえ修道女がヒロインということで、複雑な心境でこのシリーズを読み始めたことは事実である。
しかし、このシリーズは宗教というの傘の下で、欲と欺瞞と権力志向に満ちた教会の暗部をえぐりにえぐってくれるので、当初の心配は杞憂に過ぎなかった。
相変わらず練りに練られたストーリーで読み応え充分である。しかし、出たてということで、これで次作の翻訳がでるまではフィデルマともしばらくお別れである(涙)ああ、こういう時は一気読みしたいんだがなあ。
PS.褒めてるんだかけなしてるんだかわからない若竹七海の解説は、はっきりって不快、こういうのは自分のブログかなんかでやってほしい。次版から差し替えられる事を希望する。