今東光「蒼き蝦夷の血 清衡の巻」

今東光「蒼き蝦夷の血 清衡の巻」
というわけで
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/05/13
今東光「蒼き蝦夷の血 清衡の巻」を読む。
最初の3分の1弱が前九年の役、次の3分の1弱が後三年の役、残りの3分の1強がその後の清衡、という構成。
清衡の父経清に初めて触れたのが高橋克彦さんの「炎立つ(1992)」で、当時は不勉強だったので、メディアで取り上げられた最初の経清だと思っていたが、中津文彦さんの「みちのく王朝謀殺事件」(1989)で(若干であるが)登場したのを後から知ったし、この「蒼き蝦夷の血」(連載開始 1970)でもちゃんと描かれていた、というのは個人的にはうれしい驚きであった。
さらにこの小説は、津軽人を父母に持ち、中尊寺貫主を務めた今東光自身の、個人的な価値基準による蝦夷論がかなりの割合を占めるのも興味深いし勉強になる。
勿論、今東光氏の基準が絶対ではないのだが、蝦夷問題を俯瞰的に把握する入門編としても充分お勧めの一冊。