クレンペラーの「フィガロの結婚」

モーツァルトフィガロの結婚
オットー・クレンペラー指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1970)
アルマヴィーヴァ伯爵:ガブリエル・バキエ
伯爵夫人:エリザベート・ゼーダーシュトレーム
スザンナ:レリ・グリスト
フィガロ:ゲライント・エヴァンズ
ケルビーノ:テレサ・ベルガンサ
マルチェッリーナ:アンネリース・ブルマイスター
ドン・バジリオ:ヴェルナー・ホルヴェーグ
ドン・クルツィオ:ヴィリ・ブロクマイアー
バルトロ:マイケル・ラングドン
アントニオ:クリフォード・グラント
バルバリーナ:マーガレット・プライス
二人の少女:テリーザ・ケイヒル、キリ・テ・カナワ
クレンペラーの「フィガロの結婚」である。
先日ベーム指揮の映像で絶賛した、グリストのスザンナをCDでも聴けるのがうれしい。
後に共に伯爵夫人を歌う事になる、デビュー間もないキリ・テ・カナワと、ヨーロッパで認められ始めた頃のマーガレット・プライスが脇役で歌っているのも興味深い。
さて、かの「運命」でもお馴染みだった、突然のバランス変化にも驚かされるが、一番驚くのはテンポの遅さだ。「魔笛」からある程度予想はついたが、その予想を越える遅さである。
魔笛」では、遅くても普遍性があり、モーツァルトの音楽の愉悦があったが「フィガロ」ではそこまでは行っていない。音楽的には面白いだろうが、歌手は歌いづらくてたまったものではないだろう。ここまで「まだ終わらないのか」といらいらしながら聴く演奏も珍しいのではないか。