森田崇「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」

森田崇「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ
先日の「アバンチュリエ」の続編で、
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2014/01/14
繰り返しになるが第1巻が「ルパンの冒険(戯曲版:アルセーヌ・ルパン)第2巻が「ルパン対ホームズ」より「ユダヤのランプ」である。
後書きで作者はルパン・シリーズを
基幹シリーズ前半
基幹シリーズ後半
大戦前のさらなるエピソード
大戦後 最後の冒険劇
準ルパン談
に分け「まずは基幹シリーズを描いていこうと思っています」と書いている。
前回
このままシリーズ全部漫画化するつもりだろうか。先は長いぞ、大丈夫か?
と書いたが、「まずは」ということは、結局すべてを漫画化するつもりであろう。大したものだ。これが完成したら快挙ではある。
さて、この漫画化シリーズでは「シャーロック・ホームズ」は「ハーロック・ショームズ」として登場する。
そもそもルブランがルパン第1短編集の「遅かりしシャーロック・ホームズ」でホームズそのままの名前を使用したために、コナン・ドイルから猛烈な抗議を受け、その後はすべて「ハーロック・ショームズ(フランス語読みでエルロック・ショルメ」として登場させる事になった。
しかし、日本では慣例的にすべて「シャーロック・ホームズ」ということになっている。
だが、ホームズ・シリーズを読んでいる人にはわかると思うが、このルブランのホームズはとてもホームズとは言い難い。(「奇巌城」でのやり方は、とてもホームズとは認めがたい)ワトスン(ウィルソン)とホームズの関係も本物とは大分違う。
なので、ホームズが登場するルパン・シリーズは、話としては面白いが、全面的に楽しめない。(ので、江戸川乱歩の「黄金仮面」を読んで溜飲を下げる(笑))
しかし、この漫画化シリーズでは、あえて(というか、それが正解だと思うが)原作通り「ハーロック・ショームズ」として登場させ、あくまでもホームズをモデルとした別の人物として描いている。こちらの方が、まだ納得できる。
今までの邦訳作品もこれに倣ってほしいものだが、なかなかそうもいかないだろうな。