篠田真由美「聖なる血」

篠田真由美「聖なる血」
「龍の黙示録」第4弾である。
前回書いたように、主人公は「イエスの慈悲により、その血を与えられて不死となった」のだが、これはいわゆるキリスト教の教えの、根源を覆す存在である。それをバチカンがほおっておくはずがない・・・・
ということで「龍の黙示録」第4弾は、主人公とバチカンからの刺客との戦いの幕開け、という事になる。
その刺客がエジプトの「魔」であるが、バチカンが「聖杯」を餌にして主人公を襲わせるといいう、宗教にあるまじきやり方である。いいのか(笑)。
前作の飛鳥時代編にはペルシャからの「魔」が登場したが、その時主人公に味方した、良い「魔」(?)も再登場。また、最初は敵役で登場する人物も、どうやらこの先(作者もうれしい誤算だったようだが)主人公側に取り込まれて活躍するようだ。最初は、主人公とヒロイン+1の構成だったが、だんだんサブキャラも充実してくるのかな?
また、以前、宗教的に安易な展開になってほしくないな、と危惧していたが、杞憂に過ぎなかったようで、かなり深みがある。このシリーズ、尻上がりに面白くなってきている。
前にも書いたが、文庫版で2巻目が出た時点で1,2巻を買っていたが、その時読んでいたら、ここまで面白くなるとは思わなかったろうから、シリーズを読み続けなかった可能性がある。やはり、読むべき時に読むようになっているのだ。