ワーグナー管弦楽曲集
ジェフリー・テイト指揮 バイエルン放送交響楽団(1987)
シェリル・ステューダー(sp)
「パルジファル」第1幕への前奏曲
「ファウスト」序曲
「クリストフ・コロンブス」序曲
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」より「愛の死」
先日ワーグナーの未聴の管弦楽曲として「コロンブス序曲」の話を書いたが、収録されているのが、先日「ワーグナーのオペラが無い」と憤慨したテイトによるワーグナー管弦楽曲集であった!おまけにもう一つの未聴の管弦楽曲「ファウスト」序曲もある。ゲーテのファウストはいろいろな作曲家が音楽化を試みているが、ワーグナーも当初「ファウスト交響曲」として構想したが、第1楽章のみで断念、演奏用序曲とした、とのこと。そういえば、リストの「ファウスト交響曲」が未聴だったなあ。
その未聴だった2曲であるが、なかなかに深みのある曲で「リエンツィ」序曲あたりから比べたら初期ワーグナーとしたら断然こっちの方が面白い気がする。もっと演奏されてしかるべきでは?
他の曲は、悠然としながらも精緻、かつ自然体で、心に染み入る演奏である。
通常「精緻」な演奏は、これ見よがしに「精緻」を前面に出すのだが、テイトの「精緻」はあくまで自然体に仕上げるための「精緻」である。なので、一見何もしていない、特徴が無い演奏に聴こえてしまうが、実は大変に凄い演奏だ。しかし、その凄味がなかなか伝わりづらいのかもしれないが、この録音の評価が、あまり聞こえてこないのはどうしたことだろう。
現在61歳だから、まだ間に合う。バイロイトを振らせるなりなんなり、なぜしないのか!今のうちだぞ!!
ちなみにソプラノのステューダーであるが、これも拾い物(失礼!)以前ヤノフスキの指環で脇役で耳したはずであるが、こういう凛とした高音は好みである。この人もこれから聴いていきたい。