内田康夫「怪談の道」
内田康夫の浅見光彦シリーズは、気になる作品があったら手に取る程度になっていたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2005/08/24
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2010/09/29
書店で、去年集中して読んだ小泉八雲が絡むということを知って買ってみたが、なんと本当のテーマは原子力問題であった。
初出が1989年、単行本が1994年、その後出版社を替えて3回文庫化されているが、1999年の文庫化の時の後書きと、今回の2013年の今回の文庫化の時の後書きが、両方収録されているのは、2011年の福島原発事故が間に挟まれているからに他ならない。
福島原発事故の前までは、多くの人が「放射能は危険だ、だが、地球温暖化も問題だし、止まらぬ電力消費量の現代社会の問題でもあるし、原発はしょうがないのか・・・」等と思っていたと思う。
この作品も、上記のような形で、問題点は指摘ながらも、どちらかに加担することの無い書き方をしているが、2013年版の後書きは、それに対する言い訳めいたものかもしれない。しかし、それを責める資格は当方にも無い。上記のように、私もそう思っていたのは確かだからだ。