ショルティのワーグナー 「ジークフリート」

ワーグナージークフリート
ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団1964)
ヴォルフガング・ヴィントガッセン:ジークフリート
ビルギット・ニルソンブリュンヒルデ
ハンス・ホッター:さすらい人
ゲルハルト・シュトルツェ:ミーメ
グスタフ・ナイトリンガー:アルベリヒ
クルト・ベーメファフナー
マルガ・ヘフゲン:エルダ
ジョーン・サザーランド:森の小鳥

ミーメが「ラインの黄金」ではパウル・クーエンだったがゲルハルト・シュトルツェに替わっている。この二人のキャラクター的名テナーについては以前にも書いたが、個人的にはクーエンの方が好きなのだが、この録音におけるシュトルツェはかなりの熱演である。
森の小鳥のサザーランドは、配役としては豪華だが、小鳥ならではの軽やかさに欠けてしまった。
さて、ショルティであるが「ラインの黄金」「ワルキューレ」と聴いてきて、この「ジークフリート」が大変面白楽しく仕上がっていて、一番出来がいい気がする。
しかしである。「ジークフリート」は「ワルキューレ」と「神々の黄昏」という悲劇の間に挟まれたインテルメッツォ的な、喜劇的要素をもった楽劇である。
となると「ニーベルングの指環」という大きなくくりの中で「ジークフリート」が一番出来がいい、というのは問題ではある。極論を言えば「ジークフリート」の出来が多少悪くても「神々の黄昏」が抜群に良ければ、その指揮者は「ニーベルングの指環」で成功した、とさえ言えるからだ。
いや「神々の黄昏」を聴く前に、これは先走りすぎた。