「陸行水行-別冊黒い画集2」(1964)松本清張

私が若い頃は、邪馬台国に関する本はそれこそ百花繚乱で、勿論すべてを読んだわけではないが、けっこうな数は読破していたと思う。そんな中に、過去の説についての紹介があったりすると、必ずと言っていいほど松本清張説もとりあげられていたことを思い出す。
さて、この短編集、邪馬台国関連の表題作「陸行水行」以外が、どうも読中感、読後感がよろしくない。推理小説というよりは犯罪小説で推理小説のように謎が解けてすっきり、という感じがしない。もしかしたら「黒い画集」「別冊黒い画集」というのが、そういうシリーズなのかもしれない。
それにつけで思い出したことがある。
これは、私の子供の頃の記憶で、何かの折に母親が、テレビで見たのか、本で読んだのか、はたまた誰かから聴いたのか、情報源はまったく記憶に無いので、戯言として聴いてほしいのだが、(たぶん占い師か、霊能力者が言った事なのだと思う)松本清張は本来犯罪者として生まれてきたのだが、小説に昇華させる事で犯罪者になる事を免れた、という事を言っていた。なんか納得。