KILLING ORDERS(センチメンタル・シカゴ)(1985)

サラ・パレツキー
ミトン様よりご紹介の「ウォーショースキー・シリーズ」第3弾である。本来ハードボイルドは読まない人間であるが、これは、最後まで付き合いたくなった。ヒロインのヴィクは、程よく正義感が強く、程よくわがままで、程よく強く、程よく弱い、空手の達人だが、怖い目にあえば本気で怯える。褒め言葉になっていないかもしれないが、読者が感情移入しやすいキャラとして上手く出来ていると思う。これ以降のヒロインのプロトタイプになったのでは?と思ったりもする。クリスティのタペンスと比べると時代の違いが感じられて面白い。サブキャラも魅力的だし、台詞回しが気が利いている(翻訳の上手さもあるだろう)また舞台設定も、毎回普通は我々が関係しないような世界が、綿密な調査の上で語られており、これも読み応えがある。
この第3作では、後半のたたみかけがすさまじく、ヒロインは次から次へと危機に見舞われて、読んでる方もぐったりだが、不思議と不快感はなかった。彼女もどんどん歳をとってゆくらしいので、以降が楽しみである。
PS.邦題と原題のあまりの違いはちょっと文句を言いたい。しかし、原題直訳なら、買ってみようとする人は少ないかもしれないので、しょうがないのか。