忠臣蔵(純愛忠臣蔵シリーズ)(1970〜1971)

小島剛夕
忠臣蔵サイドストーリー4話からなるオムニバス・シリーズである。
初めて読んだのが文庫版であった。その時は、第1話「紅だすき素浪人」の途中から、急に絵が古くなっていて「どういうこと????」と思ったものだった。
ところが、今回コンビニ本で表紙に「雑誌掲載時のオリジナル原稿発見!」とあった。
つまりは、前回買ったものは、当時は紛失した「紅だすき素浪人」の前半を書き直したものを、元々の古い原稿に接ぎ木した形だったのだ。
読み比べてみると、書き直しの部分は、枚数も増え、かなり深く切り込んだ内容になってはいるものの、その分古い原稿とはつながりが悪く、絵柄も違いもあいまって、不自然さは否めない。
オリジナルの、未だ白戸三平のアシスタント時代の作風が残る絵柄で統一されたほうが、やはり読みやすい。
前回発売の時も、どうせなら、「紅だすき素浪人」をまるまる書き直したほうがよかったのではないか。
ちなみに、ボーナス・トラック(?)として「忍法赤穂城」(1964)が収録されているが、こちらはほとんど白戸三平の絵柄。
PS.この作品は、かなり客観的に描かれてはいるが、やはり「吉良悪役」の立場に立っている。しかし、私は「忠臣蔵はフィクション」との立場なので、この作品もフィクションだというスタンスを私はとる。