文学

「トリスタンとイズー」からいろいろ

日記には書いていないが、最近はけっこう読書三昧である。 「トリスタンとイゾルデ」の原作である「トリスタンとイズー」を我々が読もうとするなら、まずは岩波文庫のジョゼフ・ベディエ編「トリスタン・イズー物語」であろう。 多くの異本、断片を一つにま…

黒蜥蜴

三島由紀夫(原作:江戸川乱歩) というわけで(こちら)三島版「黒蜥蜴」を読む。 三島由紀夫の作品は、そんなに数多く読んだわけではなく、少年時代に「禁色」「憂国」その他を読んだだけであるが、生まれて初めて「文章というものの持つ力」というものを…

床下の小人たち

メアリー・ノートン ジブリ作品に、徐々に興味が無くなってきている昨今であるが、今回の作品もあまり触手は動かなかった。 しかし、ケルトとの関連を中心にまとめた番組を見て、現金なもので、一気に興味が湧いてきた、ただし原作のほう(笑) 5巻あるそう…

虹の谷のアン(下)

モンゴメリ 漫画 原ちえこ 以前古本屋で、この(上)のみを入手したことを書いた(こちら) 結局、(下)が見つかりそうに無いので(というか、忘れていたのだが)ユーズドにあったので購入。 絵柄の好き嫌いはあるだろうが、ほぼ原作に忠実で好感が持てる。…

ヰ゛オロンの

誰のものかは忘れたが、たぶん青春時代に読んで印象深く覚えている詩の一節があって、時折口から出てしまう。 すなわちビヨロンの〜である。それ以上は出てこないのだが(笑) で、調べたら、なかなか分からなかったのも無理は無く「ビヨロンの〜」では無く…

「美少女一番乗り」

山本周五郎 山本周五郎少年少女向け作品集の二冊目。 「水戸黄門」等の時代劇の元ネタにしても(贅沢だが)いいぐらい痛快な時代小説のてんこ盛り。(大岡越前が登場する話まである) 少女が主人公なので、より痛快さが増す(って、私がおじさんだからか(自…

「春いくたび」

山本周五郎 先日ちらっと書いた山本周五郎少年少女向け作品集の一冊目。 少年少女向けということで、幾分シンプル、明朗、勧善懲悪、活劇路線が強く、また戦前戦中の時節柄、修身色、勤皇色が強い作品もある。 しかし、深さでは大人向けの作品にけっして引け…

「春いくたび」「美少女一番乗り」

山本周五郎 本屋で山本周五郎の見慣れないタイトルを発見した。それも角川文庫である。 解説を見てみると山本周五郎の少年少女向け短編小説の初の文庫化とのこと。 「春いくたび」が昨年末、「美少女一番乗り」(なんちゅうタイトル)が今年春の発行だった。…

古城の迷路(1983)

ドロシー・ギルマン ミセス・ポリファックス・シリーズ「〜シルクロード」(1983)と同年出版だが、「アメリア・ジョーンズの冒険」(1979)よりも執筆上は前に書かれたという説もある。 というのも、「アメリア・ジョーンズの冒険」の中で、この「古城の迷…

自由の鐘(1963)

ドロシー・ギルマン ギルマンのジュニア向け時代の作品。「バックスキンの少女」との間に4作品あるはずだが邦訳は無い。 アメリカ独立前夜のボストン、誘拐された子供が当たり前のように金銭でやり取りされる時代、まさにそのようにしてイギリスからつれて…

バックスキンの少女(1956)

ドロシー・ギルマン ギルマンのジュニア向け時代の作品。「キャノン姉妹の一年」との間に2作品あるはずだが邦訳は無い。 開拓時代のアメリカ、両親はインディアンに殺され、兄はインディアンにされわれた少女。そして、兄は中身がインディアンとして帰って…

キャノン姉妹の一年(1953)

ドロシー・ギルマン ギルマンのジュニア向け時代の第4作 早くに親を亡くしたためはなればなれに暮らしていた22歳と16歳の姉妹が、叔父の遺産の田舎の湖畔の家へ、二人きりで住むために乗り込む。 いやな叔母たちと離れて自由になり、二人の未来は前途洋…

マーシーの夏(1951)

ドロシー・ギルマン ギルマンのジュニア向け時代の第3作 マーシーは個性豊かな下宿人が住む貧乏下宿屋の娘。 ひょんなことから、亡くなった元住人、人形作りのおじいさんが残した人形を使って、下宿じゅうで人形劇をやることに・・・・ サーカス、ボードビ…

カーニバルの少女(1950)

ドロシー・ギルマン ジュニア向け長編第2作。 伯父の遺産のカーニバルにオーナーとして乗り込む娘と母。相変わらず破天荒な導入部(笑) カーニバルとはサーカス、ボードビル付の移動遊園地みたいなものか。 前作でも、主人公の父親は元クラウン(ピエロ)…

ひと夏の旅(1949)

ドロシー・ギルマン 私の把握している限り、ドロシー・ギルマンの最初期の長編。 孤児院にいるジェニーは十数年ぶりに会うほぼ初対面の父親と、自宅兼改造おんぼろバスでひと夏の旅に出る。ひょんなことから、その旅に参加する人間がどんどん増えてゆき・・…

アンの愛情(1915)

ルーシー・モード・モンゴメリ 翻訳:松本侑子(2008) 油断していたら、10月に既に出ていた。この巻から単行本先発でなく、はじめから文庫本出版となったようだ。 しょっぱなからびっくりしたのが、ここにもユーライア・ヒープが登場したということ(前の事…

悲しみは早馬に乗って(2008)

ドロシー・ギルマン ドロシー・ギルマンを執筆順に読むということで、出版は最新だが、日本の独自編集のギルマン最初期の短編集である。 内容的には、一風変わったハートウォーミングや少女の心の成長の物語、スリラーに童話とバラエティに富んでいる。一風…

一人で生きる勇気(1978)

ドロシー・ギルマン おばちゃまシリーズを読み終えて、ドロシー・ギルマンは執筆順に読んでいこうと思うが、その前に自伝的エッセーがあるのでこちらから。 離婚後に女手一つで二人の子育てを終えた彼女が、ニューヨーク近郊から移り住んだカナダの漁村で初…

ミス・マープル 鏡は横にひび割れて

原作は、犯人とその夫の切ない心情から、個人的には忘れがたい作品である。 一時期やたらとクリスティの作品が映画化された時代があった。その頃は見ず嫌いだったが、同じ原作の「クリスタル殺人事件(変な邦題だ)」の出来はどうだったのかな。 題名の由来…

エンジェル エンジェル エンジェル(1996 文庫化:2004)

梨木香歩 解説にあるとおり、からくり小説なので、ストーリーは紹介できない。 この小説をなんと表現していいのか。SFやオカルトとも言えるし、宗教小説かもしれない。メルヘンやファンタジーかもしれない。しかし彼女はそこいらのファンタジーのように物…

春になったら苺を摘みに(2002 文庫化:2006)

梨木香歩 「西の魔女が死んだ」から執筆順に梨木香歩を読もうかとも思ったのだが、このエッセイを先に読むことにする。 エッセイとしてあるが、大学時代のイギリスでの滞在先のウェスト夫人を中心とした、さまざまな国の人々との交遊録である。そういってし…

赤毛のアンに隠されたシェイクスピア(2001)

松本侑子 以前から気になっていたが、やっと購入、結果的には今読んで正解だった。表題はシェイクスピアだが、英米、スコットランドもちゃんと言及されている。松本さんはアンからアーサー王、ケルトとたどって行くが、私はアンのファンでありながらケルト系…

続あしながおじさん(1915)

(Dear Enemy) ジーン・ウェブスター アニメついでにまた読む。面白いもので、こちらが成長している分読むたびに印象が変わる。今回は主人公がアイルランド系で相手役がスコットランド人(共に元ケルト)という点が非常に意味深く読めた。また、このスコッ…

「赤毛のアン」ついてのある疑問

昔からちょっと気になる事がある。ステラ・メイナードとプリシラ・グラントというアンのクイーン学院の同級生である。このふたりの同級生についての描写は極端に少なく、物語の中での必然性を全く感じない。彼女たちがいなくても「赤毛のアン」の物語には何…

サガン

「あらすじで楽しむ世界名作劇場」第3回をやっと見る。フランソワーズ・サガンの「悲しみよこんにちは」を取り上げていたが、私がサガンといえばお気づきの方も多いと思うが一条ゆかりである(爆)1972年2月号の付録(大判)で「恋人たちの時」という作品…

ようこそ!赤毛のアンの世界へ(2008/1/3 NHK放送)

タイトルだけ見たらどんな内容かわからないのだが、「赤毛のアン」と聞いたらチェックだけはせねばなるまいと奥さんに録画を頼んでいたものをやっと見る。結論から言えば4月からはじまる新番組「3カ月トピック英会話〜『赤毛のアン』への旅・原書で親しむA…

デイモンとピシアス

現在なんとなく「若草物語」シリーズを読んでいるのだが「第三若草物語」の中で脚注にギリシャ神話の「ディモンとピシアス」について言及されていた。内容が「走れメロス」に似ているなと思って調べてみたら、まさに元ネタだった。元ネタがあったとは知らな…

ふたりのロッテ

エーリッヒ・ケストナー この物語は、1991〜92年にアニメ化されており、私は途中の2,3話を見た記憶がある。しかし、原作が文庫で見つからない時点で、当時はそれ以上調べるという発想がなぜか無かったので、気になりながらもずーっとそのままであった。で…

室岡秀子

今朝の地方紙に石川啄木の教師時代の同僚で、彼が思慕を寄せていた堀田秀子こと室岡秀子が八戸出身だと言う事が書いてあった。調べてみると 「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」 は八戸の蕪嶋の情景を読んだらしい!(蕪島かと思ったら蕪…

山頭火

ふと思いついて100円ショップで日本文学シリーズを何冊か買う。萩原朔太郎、梶井基次郎、中原中也等はそれこそ思春期にはまる人ははまったであろう、菊池寛は読む前に悪い話ばかりきいてしまったので、ほとんど読んでいなかったので買ってみる。「忠直卿行状…