The Great Deceiver Live 1973-1974(1992)

King Crimson
最近車の中で、久々にこれを聴いている(4CDBOX)思えば、これが出る前はこのラインナップ(人によって第3期といったり第4期と言ったりさまざまだが)のオフィシャルライブ音源は、当時は「USA LIVE」がCD化されていなかったので、皆無だった。そこへ、これだからファンは狂気乱舞するのはあたりまえである。USAやスタジオ盤に組み込まれたライブ音源の曲をはじめ、ブートレッグで、予想はしていた。が、ここまで見事な音源が残っていた事は驚異だった。これがヒットしたのかどうか、機嫌を良くしたフリップ翁は、コレクターズボックスとして、未だに未発表ライブ音源を、発売しつづけている(が、別の時期の音源をセットにして売るのは、やめて欲しいなあ)
「予想していた」と書いたのは、この時期、たぶんかんたんな打合せ程度で、ほとんどメンバーがその場で、お互いを聞き合って構築する「インプロヴィゼーション」曲のすばらしさ、さらに、スタジオ曲も、演奏のたびに,細部が異なるということ。興味深いのは「RED」収録の「Providence」で、スタジオより長く収録されている。スタジオでちょうどおわるところは、実はフリップ翁以外の3人の中で、演奏が終りになっていて、3人でちゃんと終わらせたつもりが、フリップ翁の中では終わっていなかったらしく、その後も演奏は続き、他の3人もあとから合わせて、しばらくして、やっと4人全員で終わっている。よって、スタジオは本当にちょうど良いところで切っているのだか、この部分だけ取ってみても、彼らが本当に即興でやっていたという証拠になると思う。さらに、連日のようなライブにおいて、似たようなインプロが皆無だという事驚異的な事実も、証拠の一つだ。
インプロのバンドというのは、大概はリード楽器がインプロを延々とこなし、バックメンバーはバッキングに徹するか、クリームのようにメンバー全員が自分を主張しても既存の曲という枠組みがあるものだが、4人全員がお互いを聴き合って、その場で曲を構築しながら、さらに自分を主張していく等というバンドが他にあったろうか?
思えば、私の好きな三大プログレは、クリムゾン、ジェネシス、ヴァン・ダー・グラフであるが、ジェネシス、ヴァン・ダー・グラフはボーカリスト、コンポーザーとして好きなのであり、純粋にベーシスト、プレイヤーとしては、やはりこの時期のクリムゾンがすきなのであり、今聴いても、ほんとにしっくりくる、というか安らげてしまうのだった。