Pawn Hearts(1971)

Van der Graaf Generator
前期3枚目である。A面2曲、B面1曲(組曲)いかにもプログレといった大作主義である。ヒューのオルガンのフレーズの緻密さを改めて認識する。
すべて名曲であるが、2曲目”Man-erg”は、1枚目”Refugees”と並ぶ前期歌い上げ系の傑作であるが、ラスト部分で、4拍子の歌と、それ以前に登場した変拍子のリフが同時に演奏される。つまり、歌部分とリフ部分の頭が、どんどんずれていくのだが、これはこのアイデアをスタジオで多重録音で実現したのだと思っていた。しかし、後年発売された"Maida Vale" という、当時のBBCスタジオライブを集めたCDにこの曲が収録されているが、ちゃんとライブでこの部分を演奏しているのだった。このバンドは、プログレバンドの売りのひとつである「超絶テクニック」は無いものの、こういうところは、実はすごい演奏能力をもっているのではないかと再認識させられた。
また、ボーナストラックに、ピーター以外のメンバーの手による未発表のインスト曲が何曲か収録されている。以前、再結成CDのところでも書いたが、主導権はコンポーザーであるピーターが握っているが、曲全体に散りばめられている、さまざまなインスト部分は、各メンバーが、それぞれのセンスと力量で築き上げていったのだということが想像されるできだった。
デジタルリマスターシリーズは、この3枚で一段落で、後期はまだ発売されていない。早く聴きたいものだ。