「ばらの騎士」のベスト

以前にも書いたが、オペラで十全の演奏というのは難しい。オケ、指揮者、歌手陣、映像ともなれば演出も含め、すべてにおいて完璧(もしくは自分の好み)というものは、なかなか無いものである。
「ばらの騎士」についても同様だ。(勿論すべての演奏や映像を聴いたわけでも、見たわけでもないが、あえて指揮者と歌手陣の名前を見ればある程度内容は想像がつく、という前提で話させていただく)
そんな中(演奏の中では)エーリッヒ・クライバー盤(1954)は、場面場面をとったら他にもっと美しい演奏もあるし、ゾフィーがいかにも古いタイプの娘役の声だし、オクタヴィアンはやはりメゾで聴きたいし、モノだし、という文句もあるのだが、全体のまとまりのよさ、いかにもウィーン的な優美さと躍動感、元帥夫人のマリア・ライニングの(個人的にはヤノヴィッツに次ぐ)完璧さ(+歌手役のアントン・デルモータ)をとって、この盤をベストに推す。
あと1年待ったらステレオだったのに〜と思うのだが、ステレオに負けないぐらい音は良い。