ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

クナッパーツブッシュ指揮
北ドイツ放送交響楽団(1963)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(1962)
バイエルン国立歌劇場管弦楽団(1955)(全曲盤より)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1950)
ワルキューレ第1幕シリーズを一休みして、序曲や前奏曲、管弦楽曲をいろいろと聴いてみようと思って、マイスタージンガーの前奏曲を聴いたら、そのまま例のはしごが始まってしまった(汗)
クナッパーツブッシュには、単独演奏で、1928,1947,1950,1959,1962,1963年の6種、全曲盤で、1950,1952,1955,1960年の4種、計10種があるが、我が家にあるのは、上記の4種。
それを年代順には逆に聴いていった。
 
1963年は、以前書いた超絶名演のオール・ワーグナー・プログラム(こちら)の時の演奏。
引きずるようなテンポなのに推進力があり、透徹性と凄絶さを併せ持つ、奇跡のような演奏。
各声部が、蛇のようにうねって絡み合う様は、まさに神か悪魔か、の世界。
10分ちょっとの曲なのに、1時間ぐらいの大交響曲を聞いたかのような満足感と法悦感を与えてくれる。

1962年は有名なウェストミンスターのステレオのスタジオ盤、この時期にクナッパーツブッシュが達した境地として、透徹性に溢れ、どこまでも自然で伸びやかな演奏。
どれか1枚なら、ステレオである事と、聴きやすい事を考慮すれば、一般的にはこれを推すにやぶさかでない。
 
1955年の全曲盤からの演奏は、テンポが速く、1963年の演奏より3分以上短い。
表現が浅いわけではないのだが、どんどんと進んでいってしまい、他に比べると肩透かしを喰らう感じだが、この後に長大なオペラが控えているのだから、前奏曲だけでおなか一杯にならないように、との配慮なのか?(笑)
ラストのアッチェレランドはフルトヴェングラーかとオモタ。
 
1950年はデッカのモノラルのスタジオ盤。
1955年並みにテンポは速いが、こちらはじっくりと意味づけを行っており、こちらも1963年盤とは違った意味で凄絶感のある演奏。
中間部でかなりテンポが落ちるが、テンポの落差はこれが一番で、そういう意味でも、かなり濃い演奏。
テンポの違いはあるが、1963年盤に近い感動を与える。うーん、これもいいな。
好みとしてはテンポが遅い方がいいが、1955年盤以外の3種は、すべて名演だ。