内田康夫「赤い雲伝説殺人事件」
内田康夫の9作目、浅見光彦3度目の登場にして「浅見光彦シリーズ」の第1作である。
これまでの作品に比して、いい意味で文体が軽くなっておりサクサク読み進める。ここらへんで彼の後期に見られるスタイルが完成したか。
本人も書いているが「平家伝説殺人事件」で実ることを示唆された浅見光彦の恋が、見事に無かったことにされている。そこら辺の事は以前書いた。
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2015/04/28/045404
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2015/04/30/045142
以前「漫画化された浅見光彦シリーズ作品を読んだが、浅見光彦が生々しくて違和感があった」等と書いた事があったが
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2015/03/10
実はこの作品であった。
そして、浅見の恋も、なんとなく成就しそうな雰囲気で終わる。そしてたぶん次作では、それが無かったことになっているんだろう。シリーズの最初はこんなスタンスだったのだな。