風野真知雄は、ドラマ化された「妻は、くノ一」の漫画を読んだことがある。
「大名やくざ」シリーズが面白いかな、と思って1巻目を買ったがつん読状態である。
あ、歴史探偵シリーズも買ったはずだが見当たらない・・・・(汗)
「女が、さむらい」シリーズは全4作の書き下ろし文庫シリーズで、この10月に完結したばかり。
前に「剣客商売」で書いたと思うが、女剣士という設定は大好物である事に加え、たまたま最終巻のレビューが酷評されているのを見て、逆に興味を持って全巻揃えてしまった。
1冊1冊がかなり薄く、活字も大きい文庫なので、よほど内容が薄いかと思いきや、ジェットコースターノヴェルばりの展開の速さで、個性豊かなキャラが縦横無尽に絡みあう。さすがに人気作家だな、と思った。
酷評の内容から、最終巻の内容がある程度想像がついた状態で読み始めたが、その最終巻への伏線がそこかしこにある。しかし、この作家のファンや時代小説のファンが、何の予備知識無く読み進めたら、まさかその伏線がこんなことに、とは気が付かないだろう。
さて、酷評されている最終巻であるが、個人的にはこういう破天荒な展開は嫌いではない。
風野真知雄の初期作品に、悪魔に魂を売ることにより超能力を手に入れた信長の活躍を描く「魔王信長」という伝奇的作品がある。こういう作品を本来書きたかったのであれば、やっと今、書きたいものを書いているのだ、と個人的には思いたい。
ちなみに「魔王信長」は未完で絶版、全3巻中、第3巻が入手不可、第1巻がえらい高値がついている。