ジェローム・K・ジェローム  「ブルターニュのマルヴィーナ」

スコットランドケルト神話とか民話の本が少ないと書いたが、やはりフィン・マックールやクー・フーリンを擁するアイルランドアーサー王伝説の起源をもつウェールズが圧倒的に強い。なのでフランスの半島ブルターニュスコットランドよりさらに少ない。
で、小説でも無いかと調べたら(寡聞ながら知らなくてすいません)「ボートの三人男」で有名なジェローム・K・ジェロームの「骸骨」という幻想小説集に「ブルターニュのマルヴィーナ」というのがあるのを発見。こちらも分厚いハードカバーということで図書館で借りてきた。
太古の妖精が悪質な(作品では内容は語られない)いたずらの魔法の罪で妖精の国を追放され、第1次世界大戦直前のフランスで、派遣されていたイギリス軍に若き航空部隊長の前に現れる、という、なんか最近のハリウッド映画にでもありそうな始まりで、まさかのドタバタ喜劇かと思いきやそうでもない。ユーモア小説かと思いきやけっこう内容的にはシビアな面もあり深かった。妖精の魔法というのはある意味人類にとっては禁断の力なのだろう。
覚悟して航空部隊長のキスを3度受け入れて人間になってしまう妖精の心情もいろいろと想像されられる。
これも近年の訳出である。こんな面白いのに訳出が無かったのが不思議だが、作者は「ボートの三人男」以上の作品を書けなかったという評価が定着してしまっていたからなのだろうか。