九つの殺人メルヘン(初出 1999〜2001年、文庫化 2004年)

鯨統一郎
こちらも、先日の日記でちょっと触れたが、こちらはいわゆる「安楽椅子探偵」ものとしては、「隅の老人」や「ミス・マープルと十三の謎」に匹敵する出来ではないだろうか!ただし、登場人物が語り合う、我々世代にとって懐かしの事象の記述が多すぎて読者が限定されるのでは?、と思ってしまう。(それも、どんでん返しへの伏線だが)だから、この作品が歴史に残るかというと、微妙かもしれないが(その懐かしの事象の記述も将来貴重になったりして)まあ、そこら辺も、鯨さんらしいと言えば鯨さんらしいといえる。メルヘンについて解釈も読み応え充分で、これなら(「邪馬台国はどこですか」とともに)人にも勧められる。