ミステリー

黒蜥蜴

JET(原作:江戸川乱歩) JETという人は、金田一耕介シリーズや、ホームズシリーズの漫画化を愛読していて、いつかもれなく揃えたいのだが、古本屋で江戸川乱歩原作の上記をみつけた。 あいかわらず、JETらしい個性に満ちていながら、原作の雰囲気もおとしめ…

北森鴻

ミトン様に教えていただいたが北森鴻が48歳の若さで亡くなった。「編集プロダクション」時代の無理がたたったんだろうか。せっかく去年から本格的に読み出したのに。まだ未読もあるが、それが終わったらもう読めなくなるということか。 「蓮丈那智フィール…

狂乱廿四孝(1995)

北森鴻 北森鴻の長編デビュー作である。デビュー作でこういう舞台を選ぶところが、もう只者ではないし、私とはやはり縁があったのだとしか言いようが無い。 三代目澤村田之助といえば、歌舞伎をかじったことがある人は多分皆知っているであろう幕末期から明…

香菜里屋を知っていますか(2007)

北森鴻 香菜里屋シリーズ最終作を、文庫化を待つことができずにユーズドで購入。 すべての作品が、静かに切なく「香菜里屋の閉店」へ収束してゆく。 そして、単行本書下ろしの最終話で「雅蘭堂」の越名、「冬狐堂」の陶子、「蓮丈那智フィールドファイル」の…

メイン・ディッシュ(1999)

北森鴻 当初は北森鴻の2冊以上にわたるシリーズ物を読み終えた後、執筆順に読んでいく計画だった。 しかし、「香菜里屋シリーズ」が癒しの料理の詳細描写が重要なアイテムだたこともあり、その料理が文字通りミステリーのメインとなっている、ミトン様お勧…

螢坂(2004)

北森鴻 「香菜里屋シリーズ」の第3弾。 あいかわらずレベルの高い作品群であるが、徐々に香菜里屋のマスター工藤の過去の秘密を紐解く方向に来ている。 実は第4弾にして完結編の「香菜里屋を知っていますか」が単行本にて発売済みである。 文庫になるまで…

桜宵(2003)

北森鴻 「香菜里屋シリーズ」の第2弾。 切ない人情はこの巻でも全開で、それが謎と深く絡み合う様は圧巻の一言。 その謎も二転三転に練りこまれている。もしかしたらこのシリーズこそ北森鴻のベストなのか? ちなみに前作同様、一つ目の短編の登場人物が最…

ロバート・ダウニーJrのホームズ

全く知らなかったが、ロバート・ダウニーJrがホームズ、ジュード・ロウがワトソン(えらいイケメンや)で「シャーロック・ホームズ」の映画をやる(やった)そうだ。 ただし脚本はオリジナルとのこと。レイチェル・マクアダムス(最近CMが流れている「きみ…

花の下にて春死なむ(1998)

北森鴻 ビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤を主人公とする「香菜里屋シリーズ」の第1弾。 いわゆる「安楽椅子探偵」ものということで、ある程度内容は予想していたが、実際は予想をはるかに上回った。 短編に盛り込まれた見事な多重構造、謎をもつビアバ…

ぶぶ漬け伝説の謎 (2006)

北森鴻 「裏京都ミステリー」シリーズ第2弾で今のところ北森鴻の最新の文庫化である。 このシリーズは、北森鴻の作品の多岐のジャンル(骨董、歴史、考古学、ハードボイルド、料理等々)をひとつにまとめ、さらに京都という味付けをした、北森鴻集大成のシ…

支那そば館の謎(2003)

北森鴻 実在する京都は嵐山の「大悲閣千光寺」を舞台に、そこへ泥棒に入ったことをきっかけに寺男になった有馬次郎、実は名探偵の住職、を中心に彼らをめぐる人々のユーモア・ミステリー「裏京都ミステリー」シリーズ・・・・と思いきや、本格推理、ハードボ…

孔雀狂想曲(2000)

北森鴻 繰り返しになるが、公認サイトの人気投票で作品、キャラともに「蓮丈那智」「冬狐堂」を抑えて1位の作品である。どこにこの作品の人気の秘密があるのか、という気持ちで読んでしまう。 基本的には「冬狐堂」のように、贋作を含めて狐と狸の化かし合…

瑠璃の契り(2005)

北森鴻 「冬狐堂」シリーズの短編集である。 今回、宇佐美陶子は網膜剥離の恐れのある飛蚊症にかかる。前にも書いたがどれだけ陶子をいじめるのよ(笑) でも、そのおかげでミステリーの謎が解けたりするのだが。 今回のテーマは、和人形、洋画、瑠璃ガラス…

緋友禅(2003)

北森鴻 「冬狐堂」シリーズの短編集である。 「狐罠」の時「この世界に対する掘り下げ方が尋常ではない」と書いたが、短編集でも同じである。 陶器、埴輪、友禅、円空仏(これのみ中編) 唖然とするばかりである。 そしてそれに絡む切ない人間模様は、もうミ…

狐闇(2002)

北森鴻 「冬狐堂」シリーズ第2作。 話は宇佐美陶子が骨董商としての鑑札を剥奪された状態から始まる。前作でも満身創痍だったが、どれだけ陶子をいじめるのよ(笑) 今回のブツ(笑)は魔鏡として八咫烏が浮かび上がる三角縁神獣鏡(魔鏡:日光など直線的な…

狐罠(1997)

北森鴻 はまりつつある北森鴻であるが、「蓮丈那智フィールドファイル」の次は何を読むかで悩んだ。 けっこうシリーズ物が多いし、彼のデビューから順番に読もうかとも思った。 しかし、「冬狐堂」シリーズ第2作「狐闇」で登場する蓮丈那智にまた会いたい。…

写楽・ 考(2005)

北森鴻 そのタイトルから私が「蓮丈那智フィールドファイル」に触れるきっかけとなった第3作。シリーズは継続中らしいが、出版されているのはここまで。こういうジャンルは量産がきかないのは本人の言葉を待たなくても承知しているつもりだが、それでもこれ…

触身仏(2002)

北森鴻 「蓮丈那智フィールドファイル」第2作。 第1作はどうしても顔見世興行的なものになるが、この第2作では、各キャラや人間関係の掘り下げが見られ、それに伴い、扱う民俗ネタも深みを増している。日本古代史にまで足を踏み入れていてこれも圧巻。

凶笑面(2000)

北森鴻 ちょうど1年ばかり前、書店で「写楽・考」というタイトルの文庫を見つけた。高橋克彦さんのファンというのみならず、江戸文化等に興味を持つ身としては「写楽」ときたら、一応は内容を確認しなければならない。 そうしたら、民俗学ミステリーだとい…

人形佐七捕物帳(光文社文庫)

横溝正史 平次とともに古本屋で買った光文社編の傑作集。 綺堂の怪談等残っているのだが、かなり前に買ってあったので、とりあえず片付けるために(失礼)読む。 解説にもあるが、さすがに横溝正史だけあって捕物帳の中では本格色が強い。佐七の推理が、とい…

銭形平次 青春篇(講談社)

野村胡堂 お静が「御茶ノ水の空家に吊るされた」話がどうしても気になっていたら(こちら)銭形平次シリーズの第1作「金色の乙女」から平次とお静が祝言をあげる「七人の花嫁」までを収録した文庫を発見してユーズドで購入した。「奇譚 銭形平次」とは4作…

奇譚 銭形平次(PHP文庫)

野村胡堂 銭形平次シリーズの中から、胡堂本来の持ち味とされる伝奇色の強い作品を集めたもの。 例の「金色の乙女」は、怪しげな団体の怪しげな儀式とか、ちょっとこれは・・・という気もするが、「ですます」調の語り口とあいまった、当時の一種の様式美と…

銭形平次捕物控(光文社文庫)

野村胡堂 光文社編の傑作集で、半七の後に読もうと思って古本屋で購入していたもの。 以前なら勇んで読んだかもしれないが、胡堂の正体(伝奇のほうが本業?)を知った今ではちょっと複雑な気分。 本当は、本当の第1作から妻のお静とのなれそめあたりを読み…

半七捕物帳 第7巻(春陽文庫版)

岡本綺堂 いよいよ半七も最後である。が、綺堂の怪談ものも買ってあるし、胡堂もあるし、そっちへもう気が行ってしまっている(笑) 最後に収録されているのは、半七シリーズ随一の長編(文庫で半分分)であるが、いつものように、半七老人と筆者の会話で始…

山本周五郎探偵小説全集

なんと山本周五郎も探偵小説を書いていたとは!全6巻+別巻だが、単行本なのでやはりお高いし、そろそろ入手不可になる気配・・・・困った困った。野村胡堂もあるのに〜。 いい感じにうまくまとめた文庫とか出ないかなあ。

半七捕物帳 第6巻(春陽文庫版)

岡本綺堂 執筆順に収録されているのかどうかわからないのだが、5巻を越えたあたりから、中篇まではいかなくても長めの作品が増えてくる。 それにしたがって、実は二つの事件が同時に起きていた、というパターンが良く出てくる。 また、続編までは行かなくて…

野村胡堂と奇談とあらえびす

銭形平次の野村胡堂について、高橋克彦さんが「胡堂の神髄は奇談と冒険物にある」と語ったというのをを知って、いろいろとしらべているうちに、野村胡堂とクラシック評論家の「あらえびす」が同一人物ということを、この年にして初めて知った(大汗) あらえ…

半七捕物帳 第4巻 第5巻(春陽文庫版)

岡本綺堂 いきなりの奇想天外な導入部に引き込まれて、そのうちに絶妙のストーリーテリングにいざなわれる。実にうまい。 怪談話が始まると、先日綺堂の怪談話を読んでいるので、半七物だということを一瞬忘れて、半七が登場して我に返る。こっちはミステリ…

半七捕物帳 第3巻(春陽文庫版)

岡本綺堂 半七が語り手といいながら、主人公が半七でない話もけっこうある。 そういう話に限って、けっこう重層構造の読み応えのある話だったりする。 事情は知らないが、もしかして半七以外の話を、後年半七の聞き書きという形でシリーズに組み込んだのかし…

半七捕物帳 第2巻(春陽文庫版)

岡本綺堂 岡本綺堂は歌舞伎の劇作家でもあり、怪奇小説家でもあった。 半七捕物帳も題材が歌舞伎に関連している話もあり個人的にはうれしい。 また、怪談仕立ての話もあるが、通常怪談仕立てでも、ミステリーならば謎はすべて論理的に解決されるのだが、半七…