ミステリー

ディクスン・カー(カーター・ディクスン)再読

クリスティの再読も一段落したので、ディクスン・カーの再読に挑戦使用かと思う。 再読と言っているが、実は古本屋等でディクスン・カー(カーター・ディクスン)を見つけるたびに、いつか読むかと思って購入したのがたまっている。勿論何作かはその前に読ん…

「死への旅」(クリスティ)の中のシェイクスピア

昨日の話の続きである。やっとその部分の原文がわかった。 'I sent Hilary Craven off on a journey to a destination unknown, but it seems to me that her journey's end is the usual one after all.' 'Aha! yes! your Shakespeare!'高橋豊による日本語…

死への旅(1954)

アガサ・クリスティ 最近の読書は、もっぱらクリスティの読み返しをしている。 最初が短編集のみ、次にマープルものを執筆順、ポアロものを執筆の逆順で読み返したりしている。 そして、初期のいわゆる「冒険(サスペンス)ミステリー」を読み返し始めたのだ…

ミス・マープル「パディントン発4時50分」

新シリーズである。人物の正確設定やストーリー上の細かい改変があるが、大筋は原作どおり。ただし、個人的にはこの改変はあざとくて好みではない。 この作品のヒロイン的存在のルーシーが、原作のイメージよりケバいんじゃないの、と思ったら、アマンダ・ホ…

ミス・マープル「牧師館の殺人」(2004)

原作ではミス。マープル長編第1作、新シリーズであるが、ほぼ原作通り。 なんとジェーン・アッシャーが出ている!この名でピンと来る人はかなりのお歳だ(笑)ビートルズのポール・マッカートニーの元婚約者である。がんばってるな。 他にも大物女優のジャ…

ミス・マープル「予告殺人」(2005)

クリスティお得意の犯人隠しの妙技と言う点では、個人的には「アクロイド〜」を超えているのでは?と思われる傑作「予告殺人」であるが、このミスマープルの新シリーズでも、かなりの傑作に仕上がっていると思う。展開のスムーズ化等、ドラマ化の改竄がすべ…

ミス・マープル「動く指」(2006)と「エリック・ザ・バイキング」(1989)

というわけで(こちら)またミス・マープル(新シリーズ)「動く指」を見直してみたら、なんかシミントン夫人役の人が、なんか見たことがある気がして調べてみたら(このシーンの女主人) イモジェン・スタッブスといって、なんとあの「エリック・ザ・バイキ…

タルラ・ライリー"Talulah Riley"

クリスティのポアロとマープルを執筆順に読み返していたのだが、マープルを読み始めると、マープル・オンリーになってしまう(笑) 発表は最後だが執筆は「動く指」の後ぐらいの「スリーピング・マーダー」を読んでいて、以前ドラマ(新シリーズ)で見たミス…

「三幕の悲劇」と「三幕の殺人」

アガサ・クリスティ 全く知らなかったのだが、ややこしい事になっているらしい。 元々アメリカで先に出版されたのが"Murder in Three Acts"(1934) イギリス版が"Three Act Tragedy"(1935)で、アメリカ版を底本としている創元推理文庫のタイトルが「三幕の…

アガサ・クリスティの短編について

最近アガサ・クリスティの短編集ばかりをまとめて読んでいたのだが、勿論ファンの方はとっくにご存知と思うが、気がついた事がある。 クリスティ死後に編まれた、いわゆる拾遺集的な「マン島の黄金」の解説にもあるとおり 「スペイン櫃の秘密」は「バグダッ…

クリスティの「ラジオ」

以前書いた(こちら)クリスティの「ラジオ」をたった今読み始めたら、登場人物がラジオで「ルクレツィア・ボルジア」を聴いている、という文章が!シンクロニシティ!

ビッグ4

アガサ・クリスティ クリスティの短編集「教会で死んだ男」を久々に読んでいて「二重の手がかり」に登場するロサコフ伯爵夫人が「ビッグ4」にも出ていた事を思い出して、また読み返したりしている。 そこでふと考えるのだが、元々新聞連載されていた短編を…

「白鳥の歌」(短編集「リスタデール卿の謎」より)

アガサ・クリスティ この短編は、オペラがモチーフになっている。クリスティもなかなかにオペラに詳しいのだな、と読んでいたら、かつての名バリトンが、今までこんな役をやってきた、として挙げている役の中に「アイーダ」のラダメスがあった。これはテノー…

ワトスン夫人とホームズの華麗な冒険(1980 翻訳 1982)

ジャン・デュトゥール 先日触れた(こちら)ホームズのパスティーシュをユーズドで入手した。 原題を"Memoires de Mary Watson"(フランス作品)といい、明らかに"The Memories of Sherlock Holmes"のもじりである。 ならば邦題も素直に「回想のメアリー・ワ…

「夜鶯荘」と「まっ白な嘘」

最近、所有しているいろいろなミステリーの短編集を読み直しているのだが、江戸川乱歩編の「世界短編傑作集」に収録されている、クリスティの「夜鶯荘」を読んだら、フレドリック・ブラウンの「まっ白な嘘」(短編集「まっ白な嘘」に収録)を思いだしたので…

踊る人形

ジェレミー・ブレットの「シャーロック・ホームズの冒険」第2話を見た。「ボヘミアの醜聞」もそうだったが、女優さんが美人だな。っていうか、ショーン・ヤング系の女優に弱いのかな私は(笑)調べたら"betsy Brantley"ベッツィ・ブラントリーというらしい。

シャーロック・ホームズの新冒険

先日触れた、ホームズ出版100年を記念して編まれたアンソロジー。執筆陣は寡聞にしてあまり知らない。スティーブン・キングは別格としても、あとは名前を知っているのは「サム・ホーソーンの事件簿」(これも気になってる作品)のエドワード・D・ホックや…

シャーロック・ホームズのパスティーシュ

その「シャーロック・ホームズの功績」を読み始めたら、やはり古本屋で「シャーロック・ホームズの新冒険(上下)」という、ホームズ・シリーズ出版100年を記念して出版されたアンソロジーをを見つけて買ってしまったので、いずれ感想を書くかもしれない…

「シャーロック・ホームズの功績」(1954 翻訳 1972)

アドリアン・コナン・ドイル&ジョン・ディクスン・カー ホームズ・シリーズを久々に読み返した後、こちらも読み返す。随分前に古本屋で幸運にも偶然見つけたもの。ハヤカワ・ポケット・ミステリ版で、現在まで文庫化はされていない。 いわゆる「正典」の中…

アイリーン・アドラーを演じた女優

ホームズ・ファンならジェレミー・ブレットのテレビ・シリーズは知らない人はいないだろう。 私も大昔NHKで見た記憶があるが、先日奥さんがケーブルTVに入ったものを録画して焼いてくれていた。全41話中の半分ぐらいだが。で、いつものとおり、未見で…

シャーロック・ホームズ ― ガス燈に浮かぶその生涯

W.S.ベアリング=グルード(1962 翻訳 1977 文庫化 1987) 古本屋で懐かしい本を見つけた。入手したのは文庫だが、単行本時代に読んでいるはず(だが、細かい内容は覚えていない)。 あのシャーロック・ホームズの伝記を、ドイルの作品を元に再構成し脚色…

アガサ・クリスティー「ねじれた家」(1949)

クリスティのミステリーが映画化されるという話題が3月末にあった。クリスティのミステリーは一応すべて読んでいるはずだが、すぐに内容を思い出せなかった。過去に感想を書いたかしらと思って検索したが無かった。 読み返してみてすぐ、なぜ感想を書かなか…

リチャード三世『殺人』事件(1974)

エリザベス・ピーターズ 先日の「時の娘」の時に書いた「リカーディアン」を題材にしたミステリーがあるという事を知りユーズドで注文してしまった。つまり未読。いわゆるコージー・ミステリーで、ドタバタ・ユーモア・ミステリーのようだ。 この作品は、ジ…

時の娘(1951)

ジョセフィン・テイ ジョセフィン・テイのシリーズ探偵、グラント警部によるベッド・ディテクティブで、当時誰もが極悪人だと思っていたリチャード3世の濡れ衣を晴らす、と言う内容で、高木彬光の「成吉思汗の秘密(1958)」がこの作品にインスパイヤされて…

高橋克彦ミステリー傑作選 (まんがこのミステリーが面白い!)

出たてのほやほやである。 以前出た「緋い記憶」の漫画化「言えない記憶」(続々ピン・スクリーン 高橋克彦 - 白亜森 かつては音楽雑感+こちら)と1作品のみかぶるが(膚の記憶:井上洋子)何より(「言えない記憶」の時にも書いたが)本来「言えない記憶…

金曜プレステージ 浅見光彦シリーズ「十三の冥府」

以前感想を書いた事がある(こちら)浅見光彦シリーズのドラマ化が先週放送されていたのを録画していて、冒頭部分のみ見てみた。 始めは「蕪嶋」次にお遍路さんが殺されるシーンは荒波で遊泳禁止の「大須賀海岸」であろう。 次に出てきた、海岸にそそり立つ…

八つ墓村(1977)

渥美清 萩原健一 小川眞由美 というわけで(こちら)久々に見てみる。 以前にも書いたが、横溝正史の作品は、この当時ブームだった金田一ものの映画を見た後に読んだ。 で、他の作品は、けっこう早めに読んだ気がするが、この「八つ墓村」だけは、映画のイメ…

八つ墓村

長尾文子 原作:横溝正史 長尾文子による金田一耕助シリーズの漫画化は、「犬神家の一族」を読んだことがある。 この人の絵も、いわゆる「浮世絵の後裔」(こちら)的な雰囲気で、金田一耕助シリーズの別の魅力を、醸し出してくれている。 私は若い頃、江戸…

江戸川乱歩の通俗長編

三島版「黒蜥蜴」を読むために、事前にオリジナルの「黒蜥蜴」を読み、またネット上で天知茂版のドラマを熱く語るサイトをみつけたり、通俗長編を「こんな面白いものがあったのか」とべた褒めしているサイトを見つけたりして、再度乱歩の通俗長編を読みなお…

黒蜥蜴

三島由紀夫(原作:江戸川乱歩) というわけで(こちら)三島版「黒蜥蜴」を読む。 三島由紀夫の作品は、そんなに数多く読んだわけではなく、少年時代に「禁色」「憂国」その他を読んだだけであるが、生まれて初めて「文章というものの持つ力」というものを…