SF

フレドリック・ブラウンの「回答」

フレドリック・ブラウンの「回答」シマックの「法王計画」の解説で、フレドリック・ブラウンの短編集「天使と宇宙船」に収録されているショートショート「回答」について、ちらっと触れていた。コンピューターというものが発明されて以来、ロボットと並んで…

クリフォード・D・シマック「宇宙からの訪問者」

クリフォード・D・シマック「宇宙からの訪問者」(1980)生態系も違う、何を考えているのか、どのように考えているのかもまったくわからない。勿論価値基準も予想がつかない、そんな宇宙からの訪問者が来たら人類がどうなるか。後半の展開は予想もつかなか…

クリフォード・D・シマック「妖魔の潜む沼」

クリフォード・D・シマック「妖魔の潜む沼」(1978)「マストドニア」ど同年出版だが、ヒロイック・ファンタジーである。よりによって、シマックのヒロイック・ファンタジーである。他に未訳のシマックが多々あるのに、なぜわざわざヒロイック・ファンタジ…

クリフォード・D・シマック「マストドニア」と「ルール18」

クリフォード・D・シマック「マストドニア」(1978)個人的には、タイム・トラベルによる恐竜狩りとかは、あまり気分が良いものではないし、タイム・パラドックスも心配だ。勿論シマック自身が恐竜狩りを肯定しているわけではないだろうが。それでも、タイ…

クリフォード・D・シマック「小鬼の居留地」

クリフォード・D・シマック「小鬼の居留地」(1968)だまされていはいけない。中表紙の作品紹介欄の「ユーモアと幻想味溢れる牧歌的作風で描く」という文章に。だまされてはいけない。あまのよしたか(天野喜孝)の秀逸な挿絵に。だまされてはいけない。ネ…

クリフォード・D・シマック「人狼原理」

クリフォード・D・シマック「人狼原理」(1967)この作品は「都市」(1952)や「中継ステーション」(1963)より後の作品であるが、内容的には「再生の時」(1951)に近い内容を持っている。両作品ともアンドロイド(ロボット系ではなく、人造人間つまり、…

クリフォード・D・シマック「再生の時」

クリフォード・D・シマック「再生の時」(1951)「都市」(1952)直前の作品である。読み始めてすぐに気付くのがヴァン・ヴォークトの「非(ナル)Aの世界」(1948)に非常に雰囲気が似ているという事。「大宇宙の守護者」はスペース・オペラだったが、こ…

クリフォード・D・シマック「大きな前庭」「愚者の聖戦」

クリフォード・D・シマック「大きな前庭」「愚者の聖戦」短編集"The Worlds of Clifford Simak"(1960)を翻訳の際に分冊にしたもの。ユーモアありシニカルあり、ホラーあり、シリアスあり、バラエティに富んだ作品揃いでオチも秀逸。短編を読んでゆくとシマ…

クリフォード・D・シマック「大宇宙の守護者」

クリフォード・D・シマック「大宇宙の守護者」(1939)シマックの処女長編である。これはハヤカワ文庫(1975)であるが、1978年に別の出版社から発売された時のタイトルが「スペース・ウォーズ -宇宙十字軍」で、あきらかに「スター・ウォーズ」(日本公開…

クリフォード・D・シマック

クリフォード・D・シマッククリフォード・D・シマックの「都市」という作品は、例えば歴代SFベストを選ぶ際に、トップ3を狙えないが、トップ20とかだったら誰が選んでも入ってくると思う。褒め言葉に聞こえないかもしれないが、たとえばクラークやハイ…

サミュエル・R・ディレイニー「エンパイア・スター」(1966)

サミュエル・R・ディレイニー「エンパイア・スター」(1966)随分前にサミュエル・R・ディレイニーの中短編集「プリズマティカ」(ハードカバー)を図書館で借りて読んだのだが、そこに収録されていた中編が「エンパイア・スター」である。スペース・オペラ…

松本零士の「ニーベルングの指環」

松本零士の「ニーベルングの指環」以前触れたがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/06/05どうしても読む気になれなかったが、長いお盆休みということでやっと読んでみる。「ラインの黄金」で「ニーベルングの指環」は実は太古の宇宙に起きた出来事…

ブラッドベリ、ブラウンと黒人奴隷問題

ブラッドベリ、ブラウンと黒人奴隷問題長いお盆休みだから、というわけでもないが、懐かしいSFを読み返したりしている。ブラッドベリの「火星年代記」は今読んでも傑作だなあ、と改めて思う。この作品はいわゆる連作短編の形式だが、その中に「空のあなた…

光瀬龍「暁はただ銀色」

光瀬龍「暁はただ銀色」(1970)先日の「夕ばえ作戦」はハルキ文庫による復刊だが、長さ的に長めの中編程度ということで、この作品が併録されていた。「夕ばえ作戦」はいかにもジュヴナイルといった内容だったが、こちらはジュヴナイルにするのがもったいな…

光瀬龍「銹た銀河」

光瀬龍「銹た銀河」(1987)「派遣軍還る」(SFマガジン版)と同様、萩尾望都が表紙のこの作品は、寡聞ながら全く知らなかった。SFマガジンに1980年から1981にかけて連載されていたものを全面的に再構成して出版されたもの。たぶん本格SFとしては光瀬龍…

少年ドラマシリーズ「タイム・トラベラー」

少年ドラマシリーズ「タイム・トラベラー」(1972)先日、奥さんがテレビ放映の時録画して焼いてあった仲里依紗の実写版「時をかける少女」を見た。アニメ版もそうだったが、よくこれだけ派生のアイデアが出るものだと感心してしまった。(ただし、今回知っ…

「夕ばえ作戦」

「夕ばえ作戦」光瀬龍(連載:1964)「夕ばえ作戦」原作:光瀬龍 脚色:押井守 漫画:大野ツトム(2011)光瀬龍のジュブナイルSFは多い。たぶん「タイムトラベラー」(時をかける少女:筒井康隆)から始まるNHK少年ドラマシリーズでやっていたからであ…

進撃の巨人

進撃の巨人 諫山創以前話題になった時に2巻ほど買って、このまま延々と謎をひっぱるのだろうな、と思ってそれ以降は買わなかった。最近アニメ化のせいか人口に膾炙するようになって、奥さんや娘も語りだしたので、2巻までならあるよ、と渡したら案の定はま…

小松左京 日本アパッチ族

小松左京 日本アパッチ族(1964)小松左京と言えば、普通は「日本沈没」だろうか「さよならジュピター」だろうか、はたまた「復活の日」だろうか。しかし、私にとってはだんぜんこの「日本アパッチ族」である。以前にも書いたが、私は身の回りのものがほとん…

光瀬龍「派遣軍還る」(S-Fマガジン版 1975~1976)

光瀬龍「派遣軍還る」(S-Fマガジン版 1975~1976)というわけでhttp://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/07/02/045751S-Fマガジン版を読む。単純に「宇宙塵版」のリライトかと思っていたが、核となるアイデアが共通するだけで、全く別の小説である。リラ…

光瀬龍「派遣軍還る」(宇宙塵版)

光瀬龍「派遣軍還る」(宇宙塵版 1960~1961)というわけでhttp://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/07/02/045751宇宙塵版を読む。多少詰め込み過ぎの感はあるが、同人誌に連載された処女長編小説である。欲張りたくもなるというもの。欠点を指摘したらき…

続・言語と民族と古代

続・言語と民族と古代 大分前にこんな事を書いたがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2006/10/03SOV SVO の他に、VSO や VOS,OVS,OSV まであるとは知らなかった(汗)しかし、なぜ分かれたんだろう。不思議だ。今回びっくりしたのが、シュメール語が日…

光瀬龍「派遣軍還る」

光瀬龍「派遣軍還る」(宇宙塵版 1960~1961)(SFマガジン版 1975~1976)宇宙のツァラトゥストラ(1975)きっかけで、我が家にある光瀬龍を読み直している。(「百億の昼と千億の夜」は読みすぎるほど読んでいるので、今回はパス)ちなみに、我が家にある…

光瀬龍とUFO目撃談

光瀬龍とUFO目撃談「百億の昼と千億の夜」等で知られる光瀬龍は、若い頃よく読んだものである。何年か前に復刊した時にけっこう買っていたが「宇宙のツァラトゥストラ」が復刊していなかった。表紙を見ると、読んだような記憶はあるが定かではないのでユ…

松本零士の「ニーベルングの指環」

松本零士の「ニーベルングの指環」松本零士のSF版「ニーベルングの指環」については以前ちらっと触れたことがあったがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2010/11/13特に「読みたい!」というものではなかった。しかし、古本屋で大判の豪華本が、売れ…

舘石野ストーンサークル

舘石野ストーンサークル高橋克彦さんの「星封陣」という作品に、東北の6か所の遺跡(的なもの)が出てきて、それがカゴメ状になっていてうんぬんかんぬん、という話なのだが。その6つの地にはいつか行ってみたいと思ていたが、五葉山とかになると、日帰り…

「蒼夜叉」高橋克彦

「蒼夜叉」高橋克彦高橋克彦さんの「蒼夜叉」を随分久しぶりに読んだ。 ファンだといいながら崇徳院の怨霊の話だったよな、程度しか覚えていなかったのだが、実はホラー仕立てでありながら「竜の柩」的、歴史考証からエイリアンを導き出す骨太な作品だった(…

ドールズ 月下天使

ドールズ 月下天使 (文庫化 2011)高橋克彦油断をしていたら、高橋克彦さんの作品がけっこう文庫化されていた(汗)ドールズ・シリーズ最新作は賛否両論である。スタイルが変わったので元の路線に戻せ、ということらしいが、元々このシリーズ、作品ごとにスタ…

「恐竜惑星」シリーズ

惑星アイリータ調査隊(1978)惑星アイリータの生存者(1984)アン・マキャフリー「パーンの竜騎士」「歌う船」の両シリーズの再読を終え、さてどうしようかと思ったが、アン・マキャフリーの未読のシリーズがあった事を思い出し、この際だから挑戦すること…

パーンの竜騎士の外伝

パーンの走り屋(アンソロジー 伝説は永遠に2 収録)アン・マキャフリイパーンの竜騎士の外伝が収録されているアンソロジーがあった。時代は「パーンの竜騎士」の直前ぐらい、今まで語られなかった「走り屋」つまりは「飛脚」の文化について語られるが、結…