R・シュトラウス 「ばらの騎士」

ドホナーニ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1978)
2001年に発売されたザルツブルク音楽祭のライブである。海賊盤ほどではないが、1978年にしては若干音が悪い。マスターの不備も何箇所かある。どこにマイクを置いたのか知らないが、オケがかなり前面に出ている(もしかしたら、実際にばかでかい演奏だったか)
しかし、この音源はどうしても欲しかった。なんせ、(何べんも言ってすいません)わが最愛のリリコ2人、ヤノヴィッツとポップが元帥夫人とゾフィーなのだ!
ヤノヴィッツの元帥夫人は、いつか聴いてみたかった。さぞや素晴らしいのだろうと思っていた。予想にたがわず完璧であった。確かに元帥夫人としては色気が足りないだろう。しかし私は彼女には色気は求めていないし、それがあったら彼女ではなくなる。これも何度も言うが凛とした高音は右に出るものがいない。声のコントロールも完璧で、同じ音域でも場面によって声質を変えたりもするのである。最終幕三重唱では、クライマックス直前からクライマックスにかけてピアニシモからフォルテッシモへの持続音を歌い上げると言う凄技を見せるが、上記のようにオケがでかすぎてマイクが拾いきっていないのが残念。
ポップは今更何も言わない。男爵の名重低音バス、クルト・モルはクライバー1994年盤ではあまりの重低音ぶりに男爵とは合わないのではと思ったが、こちらは若さのせいか実に軽やかで素晴らしい。オクタビアンのイボンヌ・ミントンはフェロモンではファスベンダーにかなわないが実力は負けていない。ただ、バカデカオケに対抗して息切れしたのか、最後の最後で高音が上がりきらず可哀想だった。
さて、このオペラの「歌手」役というのは、時折一流テノールがゲストで歌う。もともと「イタリアの歌手」という設定だからイタリアの歌手が出てもいいのだが、個人的にはやはりドイツ系の歌手があっていると思う。しかし「反則だろ!」と言いたいがパバロッティならしょうがないか・・・と思わせる。若干緊張気味だが豪華な配役。
ドホナーニはウィーン的揺らぎの無い正確無比な演奏で悪くないが、オケの音量の大きさが彼のせいならちょっと減点だな。