ドロシー・ギルマン
ミセス・ポリファックスシリーズの「アルペン・スパイ」(1973)と「サファリ・スパイ」(1976)の間、かつ「伯爵夫人は超能力」(1975)と同時期に書かれた、ドロシー・ギルマンのノン・シリーズ作品。
見ず知らずの人から修道院へ送られた広大な土地と古屋敷。それを確認に行くシスター二人。シスター・ジョンとインディアンの血を引く薬草のスペシャリスト、シスター・ヒヤシンス。屋敷について見ると、古井戸からは札束の詰まったトランク、クローゼットからは、血まみれの重傷の男が・・・・・
世間と隔絶されたシスターと、ヒッピーのような思想団体員との出会い、チベット僧の超能力者まであらわれる。
チベット僧は語る。
神が世界を作り終えた時、神は人間に自分のひとかけらを残した。簡単に見つけられては人間がそれを大切にしない、ということで、それを人間が探しに来ることのないところ、人間自身の奥深くに隠した。
また、当時の移住労働者の状況の悲惨さは、これが70年代のアメリカの話か?と信じられない気持ちになる。まだまだ知らないことは多い。
全体的にはハッピー・エンドのユーモア・サスペンスだが、内容は重く深い部分が多い。