レーグナーの ワーグナー R・シュトラウス 管弦楽曲集

ワーグナー R・シュトラウス 管弦楽曲
レーグナー指揮 ベルリン放送交響楽団(1972)
ふと、レーグナーってワーグナーのオペラを指揮していないのかな?と思って調べたのだが、残念ながらなかった。しかし、前奏曲は何曲か録音があった。
ワーグナー名演集」というCDを見つけたのだが「ジークフリート牧歌」が収録されており、以前に書いたが、すでに所有済みである(交響曲とのカップリング)
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2016/02/26
なんとかならないか、と思ってさらに調べると「ジークフリート牧歌」以外の前奏曲がすべて収録され、かつ、R・シュトラウスのオペラの管弦楽曲が収録されている輸入盤を発見(似た収録の邦盤もあったが、そちらが「サロメ」未収録。
曲目は以下のとおり
ワーグナー
ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
ラインの黄金前奏曲
トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲
R.シュトラウス
サロメ」より「サロメの踊り」
ばらの騎士」より第1,2,3幕へのワルツ
EMI ワーグナー オペラ・ボックスの中休みとして聴いてみる。ただし、感想はワーグナーのみ。
ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲にはびっくりした。
音符の音価いっぱいに弾かせるやり方で、これは下手をするとべたーっとしただらしない演奏になりがちだが、裏メロの細部にまで神経がいきわたっていながら、躍動感あり、潤いあり、高揚感ありのとんでもない演奏で、こんなにわくわくした「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲クナッパーツブッシュ以来ではなかろうか。これは文句のない名演。
ラインの黄金前奏曲であるが、演奏自体は素晴らしいのであるが、この延々とワンコードの続く前奏曲を独立して収録する意味があったのか疑問。延々としたワンコードは転調後のラインの乙女、ヴォークリンデの第一声につながってこそ価値がある気がする。これを収録するぐらいなら「ローエングリン」でも「タンホイザー」でも「パルジファル」でも、次の「トリスタンとイゾルデ」の「愛の死」でも、いくらでも選択肢があったのではないか。
トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲は、上記の「ジークフリート牧歌」のような静謐さを持つが、緊張感と癒し感の同居する、これも名演の部類。ただし、前奏曲で終わるとおさまりが悪いと思ったのか、誰が作ったわからないブリッジと「愛の死」の終結部が添えられている。こんなことをするくらいなら「愛の死」を収録すればよかったのに!
などと文句をいっているが、レーグナーの演奏が素晴らしいからこその文句である。少なくとも「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲だけでも聴く価値はあるので、この録音を収録したCDのどれかはお勧め。
つらつら思うに、レーグナーは、ベルリン国立歌劇場の常任指揮者をやっているのだからオペラは得意なはずなのに、なぜオペラの録音がなかったのだろう。いや、あるにはあるが、ヘンデルの「ソロモン」カールマンのオペレッタ「チャールダーシュの女王」ぐらいしかない。ワーグナーのオペラを彼の音作りでやったら、さぞかし素晴らしかったろうに・・・もったいない話だ。